「金利差」はドル買い材料にならず
次に円サイドの要因を見ましょう。
まず「金利差」はあまり重視すべきではありません。何しろ、アベノミクスの当初、期待先行で、日米金利差以上にドルを買い上げました。
ドル円と密接な関係が見られる日米2年国債金利差と対比すると、120円台の円安ドル高は、金利差が3%以上に拡大した時の水準で、明らかに金利差を無視した買いでした。
最近の1ドル110円台の水準でも2年債の金利差が2%以上に相当しますが、現実の金利差は1%程度です。この金利差からは1ドル90-95円が妥当なところです。
それだけ日米の金融政策格差、金利差を先取りしてドルを買ってしまったわけで、それ以上の格差拡大が予見されないと、円売りを進めにくいことになります。
外債投資にシフトしづらい機関投資家
次にドル債投資の環境が良くないことに注意が必要です。
1月に日銀がマイナス金利を導入しても、機関投資家はすぐに外債投資にシフトできません。年度の予算、計画があるためです。生保は恐らく4月の新年度入りで動きやすくなると思いますが、メガバンクはそれより遅れるとみられます。
タイミングのほかに、為替リスクを回避する際のスワップコストが、ドルについては高騰したことも考慮が必要です。
為替リスクを無視する投資家は問題ないのですが、為替をヘッジしたい投資家にとっては、ドル需給がタイトになっているため、円投・ドル転の際のスワップコストが1.3%くらいかかります。
そうなると、米国債投資をするにも、金利がそれ以上のものでないとペイしません。中短期債では逆ザヤになります。
その点、ユーロではその問題がないので、比較的金利の高いフランスの長期国債などに資金が向かっている反面、米国債にはコスト後ではあまり金利のメリットがないことになります。