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相場はダマし合いの世界?「大言壮語」からは遠ざかり、指標に日々触れるのを怠らない=櫻井英明

GAAPでは大赤字なのに、non-GAAPでは前年度比増益の企業も

グローバルスタンダードは大好きな日本にしてはあたり前という見方もある。企業としては当然、決算の利益は多い方が株価も上がるし都合がいい。そしてnon-GAAPの決算発表は特に違法ではない。時価会計基準を含めてアメリカンスタンダードが必ずしも良いとは思わない。

しかし米株高の背景の一つはココにあるとすれば見逃せない課題ではある。「米国でのこの傾向は2000年頃のITバブル時のデジャブ」。そういう声もある。

「広義のnon-GAAPの会計基準の最大の問題点は単に正式ではないということ。そして基準がまちまちで任意で定義される点」という指摘もある。「会社の都合で決めた計算方法を使って出されたデータが株主の判断材料」。これが良いのか悪いのかという問題になる。

「補完データのはずなのに、市場の大多数はそれしか見ない。GAAPでは大赤字の決算でもnon-GAAPでは前年度比増益。だから株価が上昇するという奇妙なことが起こっている」。株高礼賛論の立場では「non-GAAPP会計基準」は歓迎なのだが…。

「GAAP」と「non-GAAP」

「第4四半期の純利益はGAAPでは赤字に転落。しかしNon-GAAPでは市場予想を上回る好決算」

「GAAP」=会計用語
「Generally Accepted Accounting Principles」=「一般的に認められた会計原則」=米国会計基準。

米国上場企業はGAAPのルールに沿った財務諸表を作成する必要がある。

「non-GAAP」はGAAPに沿っていないという意味。「GAAP」ベースの数値から一時的な損益などを除いた「調整後」の数値を企業側が参考値として開示したもの=会社の意見。株式市場は「non-GAAP」の数値重視。

償却前利益や株式報酬などの扱いが目立っている。何かの要素を調整したら利益が高くなる場合が多いことからその数字を企業は見せたい。

日経ヴェリタスで面白かったのは「親子上場」。いくつかの切り口で分類していた。

<子会社が高収益力>

(親会社)フリービット<3843>(子会社)ギガプライズ<3830>ROE35.9%
(親会社)ベネッセコーポ<9783>(子会社)東京個別指導学院<4745>同21.8%
(親会社)大東建託<1878>(子会社)ハウスコム<3275>同15.6%
(親会社)クリレスHD<3387>(子会社)SEPHD<3198>10.7%
(親会社)大日本印刷<7912>(子会社)インテリジェンスウエイブ<4847>同11.3%
(親会社)セコム<9735>(子会社)能美防災<6744>同9.2%

<時価総額にねじれ>

(親会社)パソナグループ<2168>時価総額672億円(子会社)ベネフィット・ワン同3,685億円
(親会社)GMOインターネット<9449>時価総額2,500億円(子会社)GMOPG<3769>同5,773億円

<グループの非中核事業>

(親会社)富士通<6702>(子会社)新光電工(6967>FDK(6955>

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image by : GaudiLab / Shutterstock.com

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「兜町カタリスト」』(2020年1月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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