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なぜバフェットは航空・銀行株を売却した?コロナ共生で起こる「例外なし」の業界再編=俣野成敏

アメリカで空きオフィスが急増中

大前:私は先日、アメリカ・ニューヨークの不動産屋と電話で話をしたんですが、「かなりの物件に、空きが出始めている」と話していました。特にオフィス物件です。

私は、不動産屋に対して「ソーシャル・ディスタンスで、今までの倍以上のスペースを空けるとなったら、同じ人数の社員をオフィスに戻すのに、これまでの倍以上の大きさのオフィスが必要になりますよね?」と質問してみました。これに対する返事は、「企業には、それだけの広さのオフィスを借りるお金がないから、従業員にはテレワークをしてもらう流れになっている」というものでした。

今、多くのアメリカ企業で始まっているのが、従業員にテレワーク手当のようなものを支給することで、自宅で仕事をしてもらうように促すことです。その手当を、仕事中に使う通信費や、もう1部屋借りる費用に充ててもらおう、というわけです。

かつては、マンハッタンの郊外から、毎日、中心部へ地下鉄で通勤するのが、ニューヨークっ子の一種のステータスでした。ところが、新型コロナウイルスの影響で、多くの浮浪者が行き場を失った結果、地下鉄にたむろするようになり、クラスターの発生要因となりました。これによって、“マンハッタン通勤”というプレミアムが、剥がれてしまったのです。

不動産屋の話によると、「今、ニューヨークでは、マンハッタン郊外の部屋数の多い物件への需要が増えている」そうです。これは以後、東京や大阪でも起こる現象だと思います。

俣野:地方への回帰が進む、ということですね。現在、日本でも矢継ぎ早に景気対策が打ち出されているところですが。

日本株は夏場まで好調か。ただし実態経済は…

大前:日銀の黒田東彦総裁が、「できることは何でもする」とおっしゃっているように、金融市場に関して「日銀の資産購入がどこまで実行されていくのか?」が注目されるところではあります。株式市場は、とりあえず夏場くらいまではポジティブな反応が期待できるのではないでしょうか。

しかし、日本の実体経済はひどい状態だと思います。今はまだ表面化していませんが、2月、3月、4月……と徐々に悪くなって、これまではしのいでいた人たちも苦しくなっていく状況が、7月、8月くらいから出始めるでしょう。

仮に、経済が昨年末の状態にまで回復したとしても、すべての産業やサービスが戻ってくるわけではありません。これから冬にかけて、業界の選別、淘汰が進んでいくことになります。

俣野:その中の一つが、航空業界です。先日、世界三大投資家の1人と言われるウォーレン・バフェット氏が、航空業界の株式をすべて売却し、ニュースになっていました。これについては、どう思われますか?

Next: バフェット氏が今回、売却したのは、手持ちのアメリカン航空、デルタ航空――

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