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ソフトバンク赤字1兆円超でも復活は確実? 孫社長が余裕で笑える3つの理由=馬渕磨理子

ソフトバンクを知るキーワードその3「モビリティプラットフォーマー」

「あのトヨタと、ソフトバンクが組む!?」そんなニュースが世間を騒がせたのは、いまから約1年半以上前のことです。

2018年10月、ソフトバンクグループとトヨタ自動車は、自動運転技術などモビリティ(移動手段)に関する新たなサービスで提携し、共同出資会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」を設立しました。

「ソフトバンクとトヨタが組む」と聞くと、なんだかすごいことが始まりそうな予感がしますが、これは一体何を意味するのでしょうか。実は、このニュースが話題になる前から、ソフトバンクはライドシェア企業への投資を積極的に行っていたのです。

ソフトバンクはなぜモビリティに投資するのでしょうか?

今後、急速に普及すると言われる“自動運転”をキーワードに、ソフトバンクが交通プラットフォーマーになりたがっている理由を見ていきましょう。

これまで、孫社長は日本よりも、世界で急成長しているライドシェア企業に投資をしてきました。 

【ソフトバンクのライドシェア企業への投資史】
2014年10月:インドの「オラ」を運営するANIテクノロジーに投資
2014年12月:シンガポールの「グラブ」運営マイタクシー(現グラブ)に投資
2015年1月:中国の快的打車(アリババグループ)にアリババと出資
2015年2月:快的打車と滴滴打車(テンセントグループ)が合併し、中国最大のタクシー配車サービス滴滴出行(ディディ)が誕生
2017年12月:米国ウーバーに投資

このように、ソフトバンクは今や世界のライドシェアマーケットの約9割に投資をしていると言われています。

なぜここまでライドシェアに力を入れるのか?

孫社長がこの分野に力を入れる理由、それはライドシェアにおいて、自動運転がもっとも普及しやすい領域だからです。

自動運転の技術はコストが高く、一般の人が自家用車で購入できる価格ではありません。

一方、バスやタクシーなどの商用車ならば、その1人あたりのコストはかなり安くなります。仮に無人運転機能があるバスが普及した場合、ライドシェア企業は、ドライバーに払っている人件費が削減できるだけでなく、効率的な配車と移動が可能になることで、回転率が上がり、収益が高まることが予想されます。

つまり、ライドシェア企業にとって、自動運転の実用化はいかにバスやタクシーで使ってもらうかにかかっているのです。

ライドシェアは単なるコスト削減だけがメリットではありません。利用者のデータを詳細に把握できるため、ロスのない効率的な移動環境を実現できるのです。

従来のマイカーを所有する社会では、クルマの稼働率は限定的です。クルマをシェアする社会が広がれば、駐車場にとまっているクルマが勝手に動き出し、人を乗せ、タクシーとして動いてくれます。自動車の稼働率が上がることで、人々の不便が解消されるのです。

Next: ソフトバンクとトヨタの本当の目的は、そんな「不便の解消」のもっと先に――

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