<JR東海は新幹線が営業利益の9割を占める>
JR東海のセグメント別・売上高は運輸業が70%を越え、セグメント別・営業利益でも運輸業が94%を占めており、新幹線が柱となっている売上構造であることが分かります。
セグメント別利益率でも、運輸業(45.5%)、流通業(3.6%)、不動産(24.6%)、その他(6.2%)と、本業である運輸業の営業利益率が45.5%と、高い営業利益率を叩き出しています。また、売上の比率では4%にとどまりますが、不動産業の営業利益率24.6%も高い数値だと言えます。また、JR東海の運輸業の収入の内訳は東海道新幹線が約9割を占めています。
<JR西日本も、迫られる事業の多角化>
JR西日本は、運輸業が売上高の62%を占めており、こちらも不動産事業の営業利益率が21.1%と高くなっています。不動産では、ルクア大阪や天王寺ミオなど、駅直結で利便性の高い商業施設や複合施設を保有しています。JR西日本も運輸以外の、事業の多角化が課題となっています。特に、JR西日本の単体売上高営業利益率は、JR東日本やJR東海と比べると低いといった特徴も見られます。
鉄道業界の今後
テレワークやウェブ会議が定着し、乗客数が減ることは予想されますが、内需に関しては、徐々に戻り始める可能性があります。JR東日本、JR西日本、JR東海に関しては、株価の反発が弱く「7割経済」を強いられる中で、株価も6月上旬は「7割戻し」となりましたが、6月下旬には再度、下落に転じています。テレワークの進展による通勤の減少、ネット会議の進展による出張の減少など、今後はJR各社の経営戦略も軌道修正を余儀なくされるのは間違いありません。インバウンドが見込めない中で、本来、利益率の良い不動産やホテル事業の業績には今後も、大きな影響を与えることになります。
Suicaと楽天ペイの提携に注目
そこで、5月25日から楽天ペイがSuicaの搭載を開始した動きに注目です。楽天カードでSuicaにチャージすると200円につき1ポイントたまります。また、楽天ペイのSuicaをJR東日本のポイントサービスである「JRE POINT」に登録すると、JR東日本の乗車時に2%のJREポイントもたまります。カードタイプのスイカを利用するよりも4倍お得です。JR東日本のように、Suicaと「楽天ペイ」の連携など、決済事業を強化する動きが、今後は高まると考えられそうです。
本記事は『MAG2NEWS』のための書き下ろしです(2020年7月6日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による