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「PayPay連合」シェア60%超えを公取が承認したのはなぜか?ヤフー・LINE統合=シバタナオキ

ヤフーとLINEの経営統合は、公正取引委員会に条件付きで承認されました。今回は公取のプレスリリースから、「何を審査したのか?」を考察していきます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

(筆者注:この記事はYusuke Gotoさんとの共同制作です。)

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※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2020年8月17日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

公取、条件付きで統合「承認」

ヤフーとLINEの経営統合についての公正取引委員会の審査が終わったため、その内容を考察してみたいと思います。

本件の公正取引委員会のプレスリリースを見ていくと、いくつか興味深い数字や市場規模に関する情報があったので、それらもご紹介していきます。

※参考:ヤフーとLINE 経営統合は条件付き承認 公正取引委員会 – NHKニュース(2020年8月4日配信)
※参考:Zホールディングス株式会社及びLINE株式会社の経営統合に関する審査結果について(公正取引委員会:2020年8月4日配信)

早速ですが、はじめに今回の審査の結論について確認します。公表された資料に、以下の通り記載がありました。

第3 結論

公正取引委員会は,当事会社グループが当委員会に申し出た措置を講じることを前提とすれば,本件行為が一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるとはいえないと判断した(審査結果の詳細については別紙参照)。

出典:Zホールディングス株式会社及びLINE株式会社の経営統合に関する審査結果について(公正取引委員会:2020年8月4日配信)

結論としては、「一定の前提条件のもと」で経営統合が承認されたようです。ここからは、どのような審査がされたかの詳細について解説していきます。

いったい何を審査したのか?

公正取引委員会のプレスリリースによると、今回の審査の視点が以下のように明示されています。

本件経営統合によって、影響を大きく受けると考えられる「ニュース配信事業」、「広告関連事業」及び「コード決済事業」について、競争を実質的に制限することとなるか。

出典:Zホールディングス株式会社及びLINE株式会社の経営統合に関する審査結果について(公正取引委員会:2020年8月4日配信)

両社の主要事業領域が統合することで、他社との競争を制限することにならないかが審査の対象でした。

それでは、審査のプロセスに照準を当てて、より詳しく見ていきましょう。公表資料のうち、気になったポイントをハイライトしていきます。

Next: ニュース配信・広告の両事業は市場の競争を妨げるのか?

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