文正仁特別補佐官は転向した?
先に、「証拠」をお見せすると前置きしたが、それは、韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保担当特別補佐官が、私人(延世大学名誉特任教授)肩書きで『ハンギョレ新聞』に寄稿した注目すべき論文である。
私のブログでも取り上げたが、文特別補佐官の真意を表わしているとすれば画期的な内容である。それは、中国政治を覇道と批判したからだ。これまでの文特別補佐官は、「親中朝・反日米」で一貫していた。それが、大きくカーブを右に切ったのである。次のように指摘している。
「中国は米国を凌駕する道徳的リーダーシップで、世界の人々の心をつかむことはできるのだろうか。THAAD(高高度防衛ミサイル)問題で韓国に示した態度、南シナ海での行動、コロナ禍以降人口に膾炙(かいしゃ)する「戦狼(せんろう)外交」など、振り返ってみると、中国の外交は王道ではなく、覇道と強権に近いものに見える」(『ハンギョレ新聞』9月7日付「中国が新冷戦を避ける道」)と論難している。
ここでは、中国が道徳に従う王道政治へ進むべきと指摘している。覇道とは、武力を用いる政治である。孫文は、辛亥革命(1911年)を行ったが、彼の思想体系は『三民主義』に示されている。中国は、王道を求め覇道を拒否する宣言した。現在の中国は、孫文思想と真逆の覇道政治である。辛亥革命は、後の共産党革命に乗っ取られて現在の中国になった。
文正仁氏は一時の戯れでなく、本心でこの寄稿を書いたとしたら、韓国外交のハンドルは、「左」から「右」へ動いて軌道修正が行われるだろう。大統領府の「86世代」には、眠れないほどの衝撃を与えたはずである。あれだけ崇め奉ってきた中国が、王道政治でなく覇道政治とすれば、彼らのこれまでの「信念」はコペルニクス的転回を要求される。
日韓「素材・部品・装備特許戦争」が始まった
韓国は、日本と角突き合いを続けられない事情がある。昨年7月からの半導体主要3素材の輸出手続き規制強化後に「素材国産化」運動を始めてきた。いち早く成果が出たと、鼻高々であったが、日本から「特許侵害」の訴えを起こされ始めている。
日本の輸出手続き規制強化以降、韓国が素材・部品・装備の国産化にスピードを出すとともに、日本が「特許」を武器に反撃に出ていると韓国メディアが報じている。韓国特許専門家の間では、韓国政府と企業が性急に素材・部品・装備の国産化に出れば、日本の特許の罠にかかりかねないとの懸念が出ているという。
日本が今年、素材・部品・装備と関連し、韓国を相手に提起した特許訴訟は6件だ。昨年は4件だった。大韓弁理士会のパク・スングァン研究官は、「韓国国内で発生する特許紛争が年間で通常50件程度である点を考慮すれば決して少ない数ではない」と指摘する(『中央日報』9月7日付)
注目すべきは、次の点である。
日本で提起された訴訟の大部分が「異議申し立て」形式という。異議申し立ては、特許無効訴訟や侵害訴訟に先立ち、「特許資格がないので登録を取り消してほしい」として起こす訴訟である。
前記のパク・スングァン研究官は、「異議申し立てが、法人だけでなく利害関係のない個人も出すことができる。本格特許訴訟の前段階で、企業がしばしば使う戦略」ということだ。日本の相次ぐ特許異議申し立ては、本格的な日韓「素材・部品・装備特許戦争」の序幕というのである。以上は、前記『中央日報』が報じた。