エルテール・イレネー・デュポンという男
かつてアメリカで南北戦争が起きて南軍と北軍が激しく対立して殺し合っていたとき、その対立を喜んでいた人物がいた。エルテール・イレネー・デュポンだ。
デュポンは「黒色火薬」を扱う工場を持っていたが、この工場で作り出されたのが品質の良い「銃弾」だった。デュポンは南軍にも北軍にも銃弾を売りつけて大儲けした。
デュポンにとって戦争は長引けば長引くほど良い。そうすれば弾薬が売れるからである。実際、この南北戦争でデュポンは凄まじいまでの売上を上げて、「死の商人」と陰口を叩かれながら、アメリカ三大財閥の一角としてのし上がっていった。
「戦争は儲かる」というデュポンのビジネスは、その後、アメリカの軍産複合体にそっくり受け継がれて、今もそれが展開されている。何しろ、軍需産業は「対立」がなければ成り立たない。
だから軍産複合体は、世界中で対立を解決しないでエスカレートさせ、双方に武器を売ることで儲ける「戦争ビジネス」を行うのである。
次の敵は中国共産党政権だ
軍産複合体は世界中で対立を扇動し、常に戦争がどこかで起きている世界を作り出している。
2001年のアメリカ同時多発テロからは、世界はイスラムと西側諸国で二分化された。それによって長い戦争が始まり、軍産複合体が大儲けするシステムが構築された。
しかし、中東の戦争はひと区切りついた。アフガニスタンもイラクもシリアも破壊され尽くして、もはや戦う余力がなくなったからだ。
そうなると、軍産複合体は、そろそろ次の大きな「敵」と「仕掛け」が必要になっている。次はどこか。言うまでもなくアジアだ。次の敵はすでに決まっている。
中国共産党政権だ。
今、アメリカの軍産複合体は着々と中国包囲網を敷き、大きく、長い戦争の環境作りをしているように見える。
中国も軍拡を進めている。中国が軍事的に脅威になればなるほど、アメリカは周辺国に武器を売ることができるようになる。実際に戦争が始まれば武器は消費されてリピートされる。軍産複合体の季節がやってくる。