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ヘルパーがさらに減るぞ。コロナ伝染で「4400万円賠償請求」に非難の声殺到

新型コロナウイルスに感染して死亡した82歳女性の遺族が、同じくコロナに感染していた介護ヘルパーの訪問が死亡の原因だとして、ヘルパーが勤務していた訪問介護事業所に対し、4,400万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたという報道が、ネット上で議論を呼んでいる。

報道によると、広島市三次市内で一人暮らしをしていた82歳女性は、今年の4月3日からせき込んで翌日に発熱。PCR検査によって同9日に感染が確認され、その後の19日に新型コロナによる肺炎で亡くなったとのこと。

いっぽうでヘルパーのほうは、3月31日に発熱と味覚・嗅覚異常があり、翌日にいったん症状が改善したものの、その後の検査で4月10日にコロナ陽性が判明。82歳女性はこのヘルパーの訪問サービスを、3月23、27、30日と4月2、6日に受けていたという。

原告側は、このヘルパー以外に母親を感染させたと考えられる人がいないとして、ヘルパーの親族にも新型コロナが疑われる症状が出た4月1日までには、自身が感染した可能性を十分に認識できたのではと主張。ヘルパーが訪問サービスを回避すべき注意義務を怠ったことに対し、運営会社に損害を賠償する責任があるとしている。また運営会社に関しても、安全配慮義務を怠ったとも主張しているという。

4,400万円という請求額は妥当なのか

今回の報道を受けて、ネット上で特に取沙汰されているのが、今回原告側が提示した4,400万円という損害賠償の金額。有り体に言えば、決して若くはない80代のご老人が亡くなった案件で、この金額は果たして妥当かという議論なのだが、その反応を見ると「多すぎる気が」「桁が一つ多くないか?」といった声が多くを占めている。

なかには、仮に余命が10年だったとして「年440万円は羨ましい」といった声も。報道によると、亡くなった女性は週に3度の訪問介護を受けていたということで、おそらくはすでに働いておらず、収入は年金のみと推測されるなかで、この金額は果たして妥当なのかという意見だ。

米英などの諸外国では損害賠償請求において、今後同じような行為が起きないよう抑止的な意味合いで、実際にかかった損害の補填に上乗せされた金額を支払うことが命じられる、いわゆる懲罰的損害賠償というものが存在する。ただ日本の法制度にそれは存在せず、損害を金銭的に評価した額を賠償額とする制度を採用している。

それだけに、今回原告が提示した4,400万円という請求額が具体的にどのような算出で弾き出されたものなのか、その内訳を知りたいという声も多くあがっていた。

現時点で、新型コロナの感染に関連して病院や介護施設の責任を問う訴訟はあまり例がなく、結果次第では、各地の病院で頻発している院内感染に関しても同様の動きが出てくる可能性も考えられる今回の訴え。またそれとともに、今回不幸にも亡くなった80代女性の“いのちの値段”に関しても、どのような判断が下されるのか、注目が集まるところである。

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