中国との外交交渉に制約
次に、対中国政策が大きく制約されます。
先日米国のポンペイオ国務長官が来日し、菅総理を表敬訪問したほか、日米、オーストラリア、インドの4か国外相会議を開きました。そこで「開かれたインド太平洋構想」を議論し、中国封じ込めを議論しています。トランプ政権の反中国が、日本などの友好国にも同調を求めています。
そればかりか、その前にワシントンのシンクタンク「国際戦略問題研究所」(CSIS)が、日本の中国寄りの動きをけん制する調査報告をまとめ、政権の親中派を名指しで批判しています。二階幹事長や今井補佐官などが調べ上げられ、チェックが入っていることがわかりました。
菅政権はその二階幹事長の後押しもあって成立した面もあり、菅総理は中国戦略には慎重にならざるを得ません。
実際、就任後にトランプ大統領と電話会談した際にも、良好な日米関係が最優先との姿勢を示すとともに、開かれたインド太平洋構想を積極的に進める姿勢を示しました。中国の「一帯一路」とは距離を置く姿勢を確認したことになります。習近平国家主席との電話会談でも、国賓訪日の話は避けました。
そうした中で、中国は日米の動きを探るためか、頻繁に尖閣諸島の海域を航行し、領海侵犯を繰り返しています。南シナ海や台湾海峡でも中国は動きを活発化させ、米国はこれをけん制していて、太平洋艦隊を動かす用意をしています。
米軍が動く際には、日本もその支援、協働を求められる可能性があります。米国とも中国ともうまく渡り合うことが難しくなっています。それだけ日本の中国戦略は限られてきます。
弱者に冷たい政策
また菅政権の経済戦略でも多くの問題点が指摘され始めました。その1つが、弱者・弱小企業に冷たい政策の色合いが強まっていることです。
「Go To」キャンペーンにもその一端が現れています。例えば、「トラベル」では高級ホテルが利用され、大衆向きの宿泊施設はあまり利用されていないと言います。
また「イート」でも、スマホやパソコンを持っていない人々はネットでアプリにアプローチできず、ポイント獲得制度を利用できない層がいます。また、飲食店はグルメサイトに手数料を払うことになり、儲かるのはこうしたグルメサイトばかりで、飲食店のメリットは少ないと言います。特に中小零細店舗では手数料負担が重くのしかかっています。
結果的に利用者、供給者ともに格差が広がる面があり、弱者が取り残される面があります。特に、コロナ感染で重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある層は、これらのキャンペーンは使えないまま、税負担だけ負います。