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東京海上日動“いじめ保険”登場も補償条件の「学校側との相談実績」が高い壁に?「隠蔽体質の学校が認定するはずない」「保険屋だけが儲かる」との声が噴出

東京海上日動火災保険が、子どもがいじめやインターネットのトラブルに遭った場合にかかる費用を補償する、新たな特約の提供を始めたことが大きな反響を呼んでいるようだ。

報道によれば、学校かPTAが東京海上の教育関連の団体保険を契約していることが前提で、希望する保護者が個別に加入すれば、もしもいじめに遭った際に、臨床心理士へのカウンセリングや転校に伴う新たな制服や教材の購入費など、1回あたり最大20万円まで支払うとのこと。

追加の保険料は、弁護士費用を補償する特約とセットで月120円を予定しているとのこと。また補償を受けるには、警察に提出した被害届や学校との相談実績を証明する書類が必要になるという。

特に小学校で激増するいじめ認知件数

今回取沙汰されている特約だが、正式には「トラブル対策費用補償特約」と呼ばれるものだそう。さしずめ“いじめ保険”といった内容なのだが、そんな保険商品が出てくるとは、いよいよ世も末……といった感じもしなくもないが、そのいっぽうでは「日本らしい」といった声もあがっているところ。

実際、教育現場におけるいじめが深刻な社会問題として捉えられるようになって久しいが、しかしながらその数は減るどころか、むしろ増えているといった状況だ。

文部科学省が公開しているデータによれば、2021年度の小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は615,351件と、前年度に比べて98,188件(19.0%)増加しているとのこと。特に小学校でのいじめに関して言えば、2013年度の認知件数が118,748件だったのに対し、2021年度は500,562件と激増。児童1,000人当たりでは、実に79.9件という多さとなっている。

そういった状況となれば、保護者の多くが「自分の子どもも、もしかしたらいじめに……」と心配するのも無理のないところで、今回取沙汰されているような“いじめ保険”が登場するのも、いわば当然の流れといったところ。

SNS上の反応をみても、「その需要は大発見」「個人で契約したいくらい」との反応もあがるなど、その内容に興味津々といった向きは少なくない様子なのだが、いっぽうでは、いじめに遭ったほうが引っ越しする費用の補償、という点に「なんで被害者が引っ越すの?」と納得できないといった声も。なかにはいじめが発生した際に、学校側がいじめられた側を、保険があるからと引っ越しさせて、問題の解決を図るのでは……といった憶測も一部からは浮上しているようだ。

補償を受けるための条件は?

そして、今回取沙汰されている“いじめ保険”に関して、多くの人が気になっているようなのが、補償が下りるか否か判断材料となるであろう“いじめの認定”はどうなされるのかというところだ。

先述の報道によると、補償を受けるためには、警察に提出した被害届や学校との相談実績を証明する書類が必要になるとのことだが、まず“学校側との相談実績”という点では、果たして学校が易々といじめを認めるだろうか……と、訝しむ声が噴出しているところ。

旭川の女子中学生いじめ凍死事件をはじめ、学校側がいじめの事実をとにかく隠蔽したがるというのは、これまで散々メディアなどでも報じられてきただけに、補償を受けようにもそこが大きな障壁となるのでは、といった見方はかなり多いようである。

そのいっぽうで“警察に提出した被害届”だが、いじめによる被害が軽微だと被害届が受理される可能性は低く、例えば相当高額な金品を強奪されていたり、あるいは暴力などによる大きな怪我などといった、かなり深刻な事態となっていないと難しいのでは……とも想定されるところ。

それだけに、画期的な“いじめ保険”ではあるものの、実際のところ補償が下りるようなケースは少ないのでは……といった声も多く、「保険が儲かるだけな気がする」といった見方が早くも広がっているといった状況のようだ。

Next: 「これは保険会社の立場から何ができるかを考えた結果」

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