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社員の副業をめぐる会社の本音、副業デビュー前に知りたいビジネスの公理とは?=俣野成敏

みずほ銀行の副業制度「収入を増やす目的はNG」はナンセンス

みずほ銀行の副業制度には、腑に落ちない点もあります。それは「収入を増やしたいといった理由のみで行う副業はNG」となっていることです。

元来、社員が副業をしたいのは、収入を増やしたいからです。それがもっとも肝心で、しかも一番難しいことなのに、記事を読むと、副業許可の判断基準は「社員の成長にある」とあります。

そもそも、世の中に「お金が稼げるだけのビジネス」など存在しません。サービス提供者が、どんなに自信満々の商品を開発したとしても、それを買うかどうかを決めるのは顧客です。

人は、たやすくお金は出しません。だからこそ、サービスを提供する側は、顧客を喜ばせようと知恵を絞るのではないでしょうか。

確かに副業をすれば、社内ではできない経験ができるでしょう。けれど、それで成長するのは「顧客を満足させようと努力することで、結果的にそうなる」のであって、最初から自分が成長することを目的にしてしまうと、単なる趣味で終わってしまう可能性があります。

お金を出す客にとって、相手が成長するかどうかは関係ない

本来、顧客にとって、サービス側が成長するかどうかは関係ありません。

私たちは普段、買い物をしている際に、「この商品を買うことで、販売者が成長するかどうか?」とは考えていないはずです。買い手はただ、自分の希望が満たされればいいだけです。

無論、副業を始める人が「副業を通じて成長したい」「自分の理想を実現したい」と考えるのはいいでしょう。しかし、商売とはあくまでも「顧客の需要を満たすことが大前提である」ことを忘れてはいけません。

実際、世間にはサラリーマンの方で、副業をしようとして“無料奉仕”を続ける人が少なからずいます。

自分のサービスを知ってもらうために、お試しをすること自体は問題ありません。しかし、期限を決めずにいつまでもお試しを続けてしまうパターンが、結構見られます。

お金をもらえないビジネスは、ビジネスとは呼べません。その場合は、ビジネスの見直しが必要です。

なのに、「そのうち相手も商品のよさに気づいてくれるのではないか」という見込みのない期待を抱いて、無料お試しを続けているのです。

残念ながら、自分の一方的な思いだけではビジネスは成立しません。相手の満足があって、初めてビジネスとして成立するのです。

Next: 企業が従業員のビジネスに口出しする権利はあるのか?

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