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「高齢者トリアージ」に舵を切った日本。情報弱者にコロナ支援届かず=斎藤満

菅政権はデジタル化にまい進

菅政権では、日本でのデジタル化の遅れを意識し、第3次補正予算で、ポストコロナに向けた経済構造の転換、好循環の実現と称してここに18.4兆円(財投込み)の予算を付けました。

コロナ対応分が5.9兆円であることから、いかに「ポストコロナ」に熱心かがわかります。

この中にマイナンバーカードの普及、学校のICT化促進、オンライン教育の充実に多くの資金を充てています。

しかし、健康保険証や運転免許証との一体化を歌ってマイナンバーカードの普及を進めようとしていますが、その狙いが行政の効率化で、国民の利益、不安解消には向いていません。

また学校でのオンライン化の推進は、コロナ禍での授業には必要ですが、デジタル化についていけない高齢者や貧困者には目が向いていません。

今の若い人は放っておいてもデジタル・ネイティブになる人々です。

取り残されたアナログ人間

これに対して、日本では特にアナログ人間が社会の流れから取り残されています。

スマホはもちろん、パソコンやインターネットから無縁な高齢者や、コストを払えずにブロードバンドにアクセスできない貧困者も少なくありません。

米国でもデジタル・デバイド(分断)が問題になっていますが、日本はさらにこの上を行っています。

デジタル機器をブラインドでも容易に素早く操れるデジタル・ネイティブと言われる若い人々と、高齢者や貧困者に多いアナログ人間との間のデジタル分断が日本では特に大きくなっています。

旅行するにも、旅行代理店に頼んで、ホテルや交通手段をとってもらい、「Go To」の対象かも聞かないとわからない人種と、スマホで瞬時に予約が済み、賢くキャンペーンを利用する若い人とが併存しているのが今の日本です。

コロナ支援もオンライン中心

政府はこうした分断社会の認識が不十分なまま、アナログ人種が生み出した「ハンコ社会」を否定し、すべてをオンライン化に向けて動き始めました。

特にコロナで人の動きを制限したい時期でもあり、オンライン(リモート)で処理できるように制度変更も進めています。若い人々には「当然」の対応で便利になりますが、アナログ人間には暮らしにくい社会になりつつあります。

給付金の申請もオンラインででき、病院に行くのが怖い人にはオンライン診療もできると言いますが、スマホもパソコンもない人には対応のしようがありません。

コロナの感染情報、予防情報など、政府が情報発信を渋る反面、ネット上には信ぴょう性の問題はあるにせよ、様々な情報が流れています。これにアクセスできるかどうかで、情報力格差が大きくなります。

街から公衆電話が消え、銀行店舗が減り、ネットやスマホで処理するように変わりつつあります。しかし、65歳以上の高齢者が国民の3分の1を占めるようになり、その多くがスマホやネット難民の状態にあります。今の日本では、コロナ支援が国民に広く行き渡るためには、効率が悪くても、オフラインで、あるいはアナログ手段でアクセスできる道を確保しておく必要があります。

Next: ITに疎い人は切り捨てか。情報弱者を救う2つの支援策

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