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なぜ総務省は接待されるのか。日本特有「放送免許付与特権」が生む政権とマスコミの主従関係=原彰宏

一連の総務省接待は、公務員倫理規約に抵触することもそうですが、それでとどめてはいけない問題です。NHKの人気キャスターが降板した件もしかり、政権とマスコミが完全に上下関係にあります。(『らぽーる・マガジン』原彰宏)

【関連】NHK受信料削減の切り札「Eテレ売却」にTV各局が反対するワケ。田中角栄と電波利権の闇=原彰宏

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2021年3月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

総務省接待疑惑は「報道」の構造的問題

当メルマガでは、NHK、電波事業、原子力など、一般には報道されない、むしろアンタッチャブルな部分を意識して取り上げてきました。

そして今回は、総務省接待疑惑が話題となっている「報道」について取り上げます。

一連の総務省接待は、接待そのものの行為が公務員倫理規約に抵触するのはそうですが、それでとどめてはいけないのです。

そんな単なる公務員の行動規範の問題ではありません、もっと根深い、報道そのものの構造にかかる問題があるのです。

テレビでは、この問題をワイドショー的に、接待金額やら高額ワインやら、さらには菅首相の長男に話が集中していますが、そもそも「なぜ総務省は接待されるのか」という根本的な話を紐解くことが重要です。

かつて大蔵省「ノーパンしゃぶしゃぶ」接待疑惑で、大蔵大臣や日銀総裁まで辞任に追い込んだ大事件があります。

それ以降、各省庁では、民間企業からの接待は受けない姿勢を徹底していたのですが、なぜか「総務省」にだけは、業者が執拗に接待を行ってきたのです。

なぜ総務省は接待されるのか。そこに「報道」というものの構造問題があると思われます。

ネットメディア「ビデオニュース」神保哲生氏の質問

先日の、「1都3県での緊急事態宣言延長に関する菅総理記者会見」においての、独立系メディアであるネットメディア「ビデオニュース」の神保哲生氏の質問の内容を取りあげます。

この質問の内容に、ことの本質があると思います。

神保哲生氏「そもそも放送事業者が、なぜ総務省の幹部を接待しなければならないのか、接待をする動機があるのかと言えば、いろいろあるかもしれませんが、特に日本の場合は、先進国の中では『かなり異常、異例』と言っていいのかもしれませんが、1950年代に作られた、政府が直接、放送事業者に免許を付与するという、先進国ではありえない制度が今も続いているために、総務省が放送事業者に対して、ものすごい強い権限を持ってしまっているという現実がある」

このように現状における問題点を指摘。さらに続けます。

「この制度が作られた1950年代と今では時代背景が違うし、しかも地上波の他、BS、CS、インターネット放送も可能になっている現在において、こうまで強い監督権限を、特に放送事業者に対して総務省に与え続ける、あるいは持ち続けることの合理性を、総理はどう考えているのか」

「日本においては免許の付与権限を、他の欧米諸国に習って、例えばかつての電波監理委員会のような独立した行政機関のようなものを、そこに権限を付与する考えはあるか」

「規制改革の旗印としている菅政権としては、例えば電波オークションなどを導入することによって、放送の新規参入を推進していく考えはあるか、もし無いならその理由をお願いします」

この質問内容から、キーワードをピックアップしてみましょう。

・国が放送免許を与えているのは日本だけ
・既存メディアが守られている
・かつての電波監理委員会のような第三者機関
・電波オークション
・新規事業社参入の厚い障壁

これらを考えることで、今の報道のあり方、国とメディアの関係がよくわかってくるかと思います。

もうおわかりの通り、メディアは国には逆らえない、逆らったら放送免許が取り上げられる。だから、政府に楯突く放送はできない。

忖度、忖度、忖度…。

放送事業者が総務省幹部を接待する構図は、これだからなくならないのでしょう。

Next: 国が放送免許を与えているのは日本だけ/政府と報道に上下関係

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