電波監理委員会
かつて日本にも「電波監理委員会」というものが存在しました。過去形ですから、今はありません。
GHQの占領政策の下で日本の民主化の一環として1950年に作られた組織ですが、日本が主権を回復した1952年にすぐに廃止され、当時の郵政省が放送事業の監督権を持つようになりました。
いま、放送事業者は5年ごとに放送免許の更新を受けなければなりません。
電波監理委員会は、米国にある第三者機関のFCC(連邦通信委員会)にあたります。この組織があれば、報道は政権から独立されるはずなのですが、なぜなのかメディアの側から、放送法の改正あるいは廃止を求める声が上がらないのです。
既存メディアが放送業界を専有して、新規参入を拒んでいるのではないか…。
政権との良好な関係を保つことで情報を得る手段を確保したいのではないか…。
そもそも記者クラブの存在はなんなのか…。
記者クラブはフリーランスのジャーナリストや海外メディアからは取材の障壁とみなされていますが、クラブ加盟社は情報を独占できる特権的な立場にあります。
放送法第4条を廃止する場合には、アメリカのような多チャンネル化が進む可能性があるので、現在地上波を割り当てられている既存のテレビ局にとってはその特権を失うことになります。
政権とメディア、微妙な関係で“持ちつ持たれつ”でいることが「ベスト」だと判断しているのでしょうかね…。
かつて大蔵省「ノーパンしゃぶしゃぶ」接待疑惑で、大蔵大臣や日銀総裁まで辞任に追い込んだ大事件がありました。このときは大蔵省内でも自浄作用が働き、財政と金融を分離し、あらたに大蔵省から独立した存在として「金融庁」が設置されました。そのことで、大蔵省も「財務省」に名を変えています。
果たして巨大組織である総務省には、自浄作用はあるのでしょうか…。
ネットメディア「ビデオニュース」の神保哲生氏の質問に対する総理の回答
前述の神秘哲夫氏の質問に対する、総理の回答を載せておきます(読売新聞の記者会見全文記載記事からの抜粋です)。
放送を含む情報通信分野は、技術革新や国際競争が極めて激しく、国家戦略的な対応が求められる、と思っています。そう言う意味で機動的、一体的、総合的な対応を可能とする省の形で、大臣が責任を持って迅速に行政を執行する制度に今、日本はなっていると思います。
実は日本も、かつて行政委員会、ご承知だと思いますけども、戦後広く導入された時期がありましたけど、当時、責任の所在がどうしても不明確になってしまう、そういうことで廃止された経緯などが実はあります。
ただ、電波そのものは、インターネット、放送と通信の境がなくなってくるとか、いろんな状況になってきているのも事実だと思います。そうしたことを、もう少し検討する必要があるのではないかなと思ってます。
出典:「皆さんの命と暮らしを守るため、一層のご協力を心からお願いを申し上げます」…菅首相の記者会見全文 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン(2021年3月6日配信)
記者会見と言えども、記者クラブの人達は事前に質問通告として、何を訊くかを事前に提出しています。それを官僚がチェックして、模範解答を総理にて手渡しているのです。
国会の質疑も同じで、スムーズな国会畝位のためらしいのですが、事前に質問を出すなんてなんなのでしょう。
そんな茶番の猿芝居を、税金を使った国会の場でやっているのですかね。そもそも自民党や公明党の人たちの、政府への質問時間は必要なのでしょうか…。
神保哲生氏は、独立メディアなので事前に質問内容を提出していないのですが、この見事な官僚文章は、きっと予想して準備しておいたのでしょう。
だから独立メディアの神保氏を指名したのでしょうか。ちゃんとフリーの人も指名しているよと見せるために、事前準備ができているから神保氏を指名したのでしょうかね。
それにしてもこの回答は、ちゃんと質問に答えているのでしょうか…。
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