水道料金を決める3つの要因とは
水道料金が地方自治体によって違う原因として、以下の理由が挙げられています。
・水質や地形といった「地理的要因」
・水道布設年次や水利権などの「歴史的要因」
・人口密度や需要構造の違いによる「社会的要因」
河川やダム、地下水などの水源の違いや水道管が敷かれた時期、建設費などが影響しているほか、人口密度や水質の変化、事業方針など自治体により条件が異なるため、料金にも大きな違いが生まれているようです。
この部分をもう少し細かくみていきますと、
・水道管や水道施設の修繕の有無(今すぐ必要か、当分は必要ないか)
・人口減少が見られるか(水道事業を支える人口の減少)
によって、水道料金に差が生じるようです。
さらに具体的に説明すると、
・水源の水質や水量、地形に恵まれていれば、浄化処理やダム、ポンプといった施設の設置や運営コストは少なくて済む
・水源となる川の水質が良いため、浄化のための薬剤の投入が少なく、設備のメンテナンス・維持費も安く済む
・水源から市街地までの距離も最大4~5キロと近く、効率的な配水も可能なのでコストは安く済む
・離島などに海底水道管を通じて水を販売している分、コストは安く済む
・水道料金は一般家庭の料金単価を原価よりも低く設定し、民間企業などの大口需要者の単価を高く維持して帳尻を合わせているので、大企業の工場が多いと家庭用は安く済む
などなど、地理的要因や大企業が多いなどの事情によって料金が異なるのは理解できるでしょう。
上記の逆は「コスト高」で、水道料金は高くなります。
これはすごく重要な概念で、もし水道が民営化されたら、この水道料金格差は、上記の要素でますます大きくなることが予想されるということです。
水道代はどんどん値上がりする?民営化でさらに格差拡大へ
自由に居住場所を移転できる人は、より安い場所に移動すればよいですが、高齢者など、その土地を離れられない人は、その土地の環境によって、水道料金は年々高くなることを覚悟しなければならないということになります。
水道管の老朽化が進みそうで、今まで大きな修繕もしていないのなら、また、人口が減って空き家が増える状況なら、今後は、水道料金が高くなる可能性が大いにあるということになります。
その時間軸は、水道事業の民営化によって拍車が掛かることが予想されます。
でも、水道事業民営化をする以前に、もうすでに水道料金は居住環境により変化しているということに、気付かされます。
この状況を踏まえて、今のコロナの要素をかけ合わせるとどうなるでしょう。
生活苦により、水道料金が支払えなくなる世帯が増えてきています。特例として支払猶予の措置が取られ、地方自治体によって対応は異なりますが、「コロナ免除」の措置が取られています。
それは水道事業の採算にも影響を与えます。
将来の修繕費用の準備にも影響が出て、最終的には水道料金値上げという事態が想像されます。
水道料金を、違う角度から「水の原価」という観点で見てみましょう。
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