個人消費に天と地の差
現象面でみると、個人消費の元気度合いがまさに天と地の差があります。
米国の1-3月のGDPを支えているのは個人消費です。アトランタ連銀の「GDPナウ」によると、1-3月の個人消費は2月の弱い数字を入れても年率7.2%増と好調で、景気をしっかり支えています。
これに対して、日本では総務省の「家計調査」がを見ると、1-2月の消費水準は昨年10-12月の水準を6.6%も下回っています。日銀の「消費活動指数」でも1-2月平均は10-12月を3%下回っています。
日本はこの消費の落ち込みがGDPのマイナス成長をもたらそうとしています。コロナの感染者数では圧倒的に日本が少ないのに、なぜこれほど消費やGDP成長に差が出るのでしょうか。
積極景気支援策では負けないが
IMFは、米国の成長率を引き上げたのはバイデン政権が打ち出した1.9兆ドル規模の追加コロナ支援策を織り込んだためで、これが日本やユーロ圏にも貿易を通じてプラスの波及効果を持つと言っています。
米国はその前にトランプ政権が3兆ドルのコロナ支援策を打っているので、合わせると約5兆ドル(500兆円強)の追加経済対策を打ったことになります。
しかし、経済対策という点では、日本も昨年から3次にわたる補正予算を組んで、総事業規模にして約300兆円もの追加策を打っています。
経済規模からすれば決してトランプ、バイデン政権に負けてないはずですが、結果に結び付きません。
その原因は、300兆円規模と言いながら、これは見せかけの数字で、実需としての財政支出規模はずっと小さいか、内容に無駄が多いか、ということになります。
このからくりを解く1つのカギが、日銀の「資金循環勘定」に見られます。
昨年1年間の一般政府の資金不足額は48.4兆円で、19年の13.5兆円から約35兆円拡大しただけとなっています。これには第3次補正分が入っていないとしても、「真水」として財政需要を追加した分は35兆円程度しかなかったことになります。
見せかけと実態が大きく乖離していたことになります。