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日米“景気回復格差”の犯人は誰だ?米国の影さえ踏めぬ日本のマイナス成長=斎藤満

米国が経済急回復を遂げる一方、日本のGDPは再びマイナス成長に落ち込むことがほぼ確定的です。なぜコロナ感染者数では優位にあるはずの日本が、GDP成長率では米国に大きく水をあけられているのでしょうか?(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年4月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

米国に水をあけられた日本の景気

日本は「経済は一流、政治は三流」と言われてきました。

しかし、東日本大震災や新型コロナ禍などの危機に直面すると、「三流政治」が経済にも大きな負担となり、「経済は一流」の地位を失いつつあります。

現在の日本経済はこれを象徴しています。コロナ対応のマズさが、景気に余計な負担を強いています。

IMF(国際通貨基金)はこの4月に世界経済見通しの改定を行いました。これによると、2021年の世界のGDP(国内総生産)成長率は6.0%成長と、3か月前の予想5.5%から上方修正しました。米国など、主要国で積極的なコロナ支援策を打っていることを織り込んだためと言います。

しかし、国別の内訳をみると愕然とするものがあります。

コロナ感染者が世界一の米国が、昨年のマイナス3.5%から今年は6.4%に急回復する予想で、しかも1.9兆ドルの追加コロナ支援策を織り込んで前回1月の予想5.1%から大幅に上方修正しています。

これに対して、主要国の中ではもっとも感染者が少ない国の1つである日本は、昨年のマイナス4.8%から今年は3.3%の成長にとどまります。これは中国の8.4%予想はもとより、ユーロ圏の4.4%成長をも下回るものです。

コロナ感染者数では優位にあるはずの日本が、GDP成長率では米国に大きく水をあけられています。

これは足元の景気にもよく表れています。今年1-3月のGDP予想では、日本が再びマイナス成長に落ち込むことがほぼ確定的なのに対して、米国はアトランタ連銀のGDP短期予測「GDPナウ」によると、1-3月のGDPは年率6.2%成長予想となっています。

これは2月に米国全土を襲った大寒波の影響で大きく落ち込んだ2月の指標を多く織り込んだもので、これから3月の指標が出るにしたがって、さらに上方修正されると見られ、エコノミストの予想では年率10%近い数字になるともいわれています。

日米の景気でここまで大きな差がついてしまったのは、何が原因なのでしょうか。

Next: 個人消費に天と地の差。日本は感染者数が圧倒的に少ないのになぜ?

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