日本を責める材料はたくさんある
菅政権はとにかくワクチン接種の進展を最優先し、麻生副総理もG7財務相電話会議で、これが進めば経済回復のモメンタムも復活するとの考えを述べています。
しかし、ワクチン接種も、高齢者を7月末までに終了するという計画も難しくなり、若い人まで含めて年内に集団抗体を獲得できるかどうかも微妙になっています。
そんな中で日本は、この秋に補正予算を組んで新たな経済支援に出る構えですが、それまで待つ余裕はありません。
10都道府県で4~6月のほとんどの期間が緊急事態宣言を発出している状況で、2四半期連続のマイナス成長のリスクが高まっています。
ワクチンの遅れ、経済対策の遅れが問われます。このまま五輪開催ができるのかについても問われるのではないかと見られます。
気候変動、温暖化対策の壁
もう1つの大きなテーマが気候変動、温暖化対策です。
先のG7財務相電話会談で麻生財務大臣は、「主要排出国を巻き込むことが不可欠という観点からG7として対応する」姿勢を示しました。
つまり、世界第2位の排出国中国、並びにこれに続くインド、ロシアや、さらに利害の対立する新興国も巻き込んでということですが、日本もG7の中では米国に次いで大きなCO2排出国です。
小泉環境大臣は就任直後に海外メディアから石炭火力発電について問われ、「減らす方向」と答えましたが、「how?」と問われて答えられませんでした。
菅総理も2050年に排出量ゼロ、2030年に46%削減の目標を掲げましたが、これをどうやって進め、実現するのか、具体的なビジョンは示されていません。
今はコロナ、ワクチンで精一杯で、排出ガス削減問題まで対応できていません。
日本企業も政府から具体的なビジョンが示されないまま、削減目標だけ示され、自動車も鉄鋼も対応に苦慮しています。EV化を進めるにしても、リチウムイオン電池車を進める企業と水素電池を進めるところがあり、充電設備をスタンドにするのか、家庭で充電するのか、電池交換方式か、具体的方向も示されないまま走っています。
製鉄会社の溶鉱炉をどうしたらよいのかも、大きな問題です。