fbpx

女性議員比率が低すぎる。G7で最低、世界166位に甘んじる日本政治の時代遅れ=原彰宏

女性の割合を定める「クオータ制度」

前述した「クオータ制度」とは、その組織における女性の割合をあらかじめ一定数に定めて、積極的に起用する制度のこと。今回のテーマでもある政治の世界において、世界ではよく語られる制度です。会社役員の女性比率を高める議論においても用いられます。

クオータ制の発祥地で知られるノルウェーでは、法制化によって一般企業にもクオータ制を導入し、女性の社会進出が大きく進んだことで知られています。

内閣府男女共同参画推進局のホームページを見れば、法律により取締役会におけるクオータ制を導入した国として、イスラエル、ノルウェー、スペイン、オランダ、アイスランド、フランスがあるとされています。

ポジティブ・アクションとしてこのクオータ制度があるようで、各国の取り組みや現状が、内閣府男女共同参画推進局のホームページには載っています。
※参考:平成23年版男女共同参画白書 – 内閣府男女共同参画局

新しく発足した米国バイデン政権では、副大統領や財務長官が女性であり、閣僚級ポストに就く女性は史上最多になっています。

全閣僚25人のうち12人が女性が占めています。菅政権の女性閣僚は2人だけです。

安倍政権では、2020年までに国会議員や民間企業の管理職の女性の割合を、30%以上にする目標を掲げていました。2021年の現在、まったく実現できていません。

男女共同参画局 平成27年2月」の資料には、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」ことを決定した…とあります。

この「30%」目標は、国連ナイロビ将来戦略勧告に基づいて策定されたものではないでしょうか。

女性の社会進出を促す「国連ナイロビ将来戦略勧告」

内閣府男女平等参画推進局ホームページに、その説明が載っています。

平成2年(1990年)5月、国連経済社会理事会において平成7年(1995年)に世界女性会議を開催することを国連総会に勧告する決議(国連総会により支持された)がなされるとともに、ナイロビ将来戦略の見直しと評価が行われ、「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略に関する第1回見直しと評価に伴う勧告及び結論」 (ナイロビ将来戦略勧告)が採択され、1990年代においてナイロビ将来戦略の実施のペースを早めることが求められた。

出典:内閣府男女共同参画局

とあります。さらに、

なお、同勧告は、「政府、政党、労働組合、職業団体、その他の代表的団体は、それぞれ西暦2000年までに男女の平等参加を達成するため、指導的地位に就く婦人の割合を、1995年までに少なくとも30%にまで増やすという目標を目指し、それらの地位に婦人を就けるための募集および訓練プログラムを定めるべきである」との数値目標を設定している。

出典:内閣府男女共同参画局

とあります。

女性の社会進出促進に関しては、民間企業では積極的に取り組んでいるところもあるようですが、日本では、どうも「感情的」というか、客観的にこの問題を取り上げていないところがあるように思えます。

お隣中国では、一人っ子政策の弊害がこれから出てきます。日本以上の少子高齢化が進むわけで、今から積極的に女性の社会進出を後押ししているのが中国です。

日本との大きな違いは、中国は理系的というか、労働力、社会保障の担い手が足りないので女性に頑張ってもらおうということを、普通に、足し算引き算をするように考えているということです。

ごくごく普通に考えれば、当然の思考となるのでしょうが、日本ではそうはならないのですね。

女性に頑張ってもらって社会保障制度を支えてもらおうとは考えないようです。

考えたとしても、男性と同じ待遇を保証しない、女性の僅かな給料から社会保険料をむしり取ろうとしていて、それに女性は文句を言わないだろうという思いが、どこかにきっとあるのでしょうね。

中国は本気で女性活用に動いています。日本は、イデオロギーが邪魔をしています…。これからの経済発展に、大きな差が出るのは明らかでしょう。

世界的なナイロビ将来戦略勧告を持ってしても、日本社会はなにも変わらないでいる状況を、本当にどう思われますか。

この勧告から、もう何年立っていると思っているのでしょうね。

Next: マイノリティーが約3割を占めると、あらたな組織文化が生まれる

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー