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米中スガの3大リスクが秋に集中。解散総選挙と日本株急落に要警戒=斎藤満

中国の金融不安

次に中国発の問題がいくつかあります。いずれもこの秋に向けて市場を脅かす要因になる可能性があります。

まず、中国政府がこれまでの債務の膨張にブレーキをかけていることです。中国の債務は国際決済銀行のデータでも総債務がGDPの3倍を超えていますが、公表されていない分も含めるとさらに大きな債務がある、との試算もあります。

中国のGDPに対する貸出の比率が大きく縮小した時期に、世界的な株価の下落など、市場の不安定を引き起こしています。2015年、2018年がその一例です。

中国の貸出やこれに社債や信託、株での調達も含めた社会総融資総量も、今年の初めから抑制され、相対的に引き締めが始まっています。これがすでに中国景気の減速をもたらしていますが、これが進むと、世界の金融市場にも影響が及びます。

そしてその債務の中にドル建て債務が多く、このため米国の緩和縮小で今後ドル高、ドル金利高となる可能性があります。

これはドル建て債務の返済負担を大きくします。中国はある程度ドルにリンクした運営をしているので、米国が緩和の縮小、引き締めに転じると、中国もこれに合わせて緩和の縮小、引き締めを余儀なくされます。

中国がFRBと歩調を合わせて抑制的な金融政策をとれば、ドル高、人民元安による負担増は回避されますが、その分中国の金利が上昇し、流動性供給が絞られて、国内経済が負担を強いられます。ここまでのところはドル高人民元安の方向に動いています。

このように、中国は国内事情から債務を圧縮せざるを得ず、引き締め的な政策が必要になるとともに、米国が金融政策の方向転換で、緩和の縮小にでるとドル金利高、ドル高をもたらし、中国には引き締め的に作用します。

つまり、いずれにしても、中国経済はこれから金融政策を引き締め気味に進まざるを得なくなります。

中国国有企業のデフォルト相次ぐ

その点でさらに負担となるのが中国の不良債権問題です。国有企業でこのところ社債の債務不履行(デフォルト)が発生するようになりましたが、政府の公式発表でも不良債権が約100兆円あると言います。多くの機関による試算では、現実の不良債権はその数倍にはなると言います。

この大量の不良債権を抱える中で、中国が金融を引き締め的な方向で運営すれば、この問題が悪化して不良債権問題をより深刻なものにします。すでに米国の金融機関、ファンドはかつて日本で活躍した「ハゲタカファンド」のように、中国での不良債権ビジネスを手掛ける準備をしています。

この秋に向けて、中国での金融問題、債務問題が、世界の市場を揺さぶるリスクが高まっています。

Next: 秋の衆議院選挙が日本株にトドメを刺す?

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