ノンアルコールや低アルコール飲料の伸びは?
サントリーホールディングスの推定では、20年のノンアル市場は2,266万ケースと5年で約1割拡大していると報告しています。
縮小が続くビール市場と対照的です。ノンアルはかつて『我慢の飲み物』とされてきましたが、味や価値の追求が進み、ポジティブに飲まれている傾向にあります。
アサヒビール、足元の業績は……
では、足元のアサヒビールの業績を見ておきましょう。
アサヒビールホールディングスの2021年12月期第1四半期決算は四半期ベースで過去最高益を達成しています。売上収益が前年同期比11.6%増の4,567億円、本業の儲けを示す事業利益が同78.3%増の283億円と、持ち株会社体制に移行した11年以降でいずれも四半期ベースで過去最高です。
しかしその要因は、20年に買収した豪ビール事業の底上げによるもので、本業の儲けによるものではありません。
実は、大黒柱である国内酒類事業は、コロナ禍での業務用市場不振により大苦戦で、売上高は同16.5%減の1,361億円、事業利益は同37.1%減の88億円と大幅な減収減益となっています。
ヒット商品「生ジョッキ缶」は品切れ続出
それでも、4月に発表した「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」も品切れ続出。「生ジョッキ缶」は、開栓するときめ細かい泡が自然に発生し、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる新商品です。
これが消費者に大ウケし、4月20日の全国発売直後から品切れが相次いだのです。
コロナ禍による業務用市場の不振もあって。それだけに、生ジョッキ缶の売切れ続出は、数少ない明るいニュースです。
厳しい状況が続く業界ですが、新規マーケットの開拓を狙う攻めの「微アルコール」にも期待が寄せられます。ビールの新マーケットを創造できるのでしょうか。