密告制度導入は国民弾圧と粛清断行のはじめの一歩
この恐るべき公的密告制度。ネットを使って情報を国民から集めると言えば聴こえがいいですが、単なる「チクり」というやつです。
密告制度や秘密警察などの仕組みが公然と導入された国は、ここ100年あまりの世界を見渡せば、ロクなことにはなっていないことを歴史が物語っています。
気に入らない役人はどんどんクビにし、メディアなどにも強烈な圧力をかける菅首相の独裁ぶりが、旧ソ連の権力者に似ているということで、「スガーリン」とのあだ名がついているのは有名な話です。
その本家本元のスターリンは、この手の密告制度を利用して、自らの政治への反対者を在任期間中になんと78万人も殲滅するという驚くべき暴挙に打って出ています。
まさにその基本となったのが、密告制度による恐怖政治です。
コロナ下で菅政権がこうした方法を持ち出して来るのは、実に不気味かつ不愉快な状況であることがわかります。
戦中の「隣組」制度は密告粛清の実現形
戦中を知る人はすでにかなり少なくなっているわけですが、日本が第2次世界大戦に参入するほぼ1年以上前に、国家総動員体制を確立して運営させるために、全国に設置されたのが「隣組」と呼ばれる国民統制組織の末端機構です。
政府の通達、物資配給、公債消化、勤労作業、防空訓練などを行うのが、隣組の公的な役割とされていました。
しかし実は、その裏には国民相互監視のシステムとして機能していた部分があります。
反国家的思想の持ち主や、共産主義者の摘出などに住民の自発的密告制度が広く活用されるといった、実に暗い過去が国内にも存在するのです。
密告制度が定着化すれば日本は地獄になる
コロナ下の飲食店監視で「密告制度」が導入されるからといって、そこまで深刻に考える必要はない……と楽観視する向きも多いでしょう。
しかし、スターリンの旧ソ連、文化大革命時代の中国、そして上述の戦中国内の隣組密告制度など、そのどの事例をとっても、この手の国民監視体制が進む先は暗黒の社会体制です。
どこの国民にとっても、幸せな時代はまったく訪れていないという事実を無視するわけには行きません。
まして、スターリンになぞらえて「スガーリン」などと揶揄される人物が政権を握っているわけですから、猛烈に気になるのは当たり前の話。
足もとの中国では、密告制度の奨励を利用して「プロ密告通報人」なる者まで登場し、通報されたくなければカネをよこすよう店主を恐喝する事案まで出るという始末です。
日本も他人事ではなく、コロナ以外のほかの領域でも密告による国民監視が強烈に進むことを危惧せざるをえない状況といえます。