1日にオンラインで行われた全国知事会で「帰省原則中止」を提言として打ち出したことに、国民の怒りが爆発する事態となっている。
知事44人が出席した新型コロナ対策本部では、国への提言として、国民に行動変容を促す強いメッセージを出すよう求め、とりわけ若い世代への働き掛けを強めるべきとした。さらに、外出などを厳しく制限するロックダウン(都市封鎖)も検討すべきとの声も上がったという。
さらに国民へのメッセージとしては、人の移動による感染拡大を防ぐため不要不急の旅行や帰省を自粛するよう訴え、やむを得ず移動する場合は感染対策の徹底や事前のPCR検査を求めるとの意見が出たという。
この全国知事会の提言を受けて、加藤官房長官は2日午前の会見で「政府としても夏休み時期における感染拡大を抑えていく必要があると考えている」と同調している。
「所詮はやってる感アピール」と反応は冷ややか
有休がとれる人なら、今週末から長いお盆休みが始まる……といった、まさに直前のタイミングで打ち出された「帰省原則中止」の提言に対して、ネット上では「今ごろ遅すぎる」「せめて4連休前のタイミングで言え」と、その対応の遅さに批判が集まる結果に。また、すでに手配をしてしまった飛行機や鉄道、宿などのキャンセル料に関して、補償はどうなるんだという心配の声も多くあがっている
気持ちはわかるんです。でも言うなら夏休みに入る前に言うべきだし、バッハが広島だか福島に行くことにも眉を顰めるべきだし、もっと言うなら聖火リレーにも反対して欲しかった/知事会「旅行、帰省原則中止を」の提言にSNS猛反発 五輪絡め「国境またぐ運動会は原則中止を」https://t.co/3QaXftIEJN
— 岡部敬史(おかべたかし) (@okataco) August 1, 2021
今さら間に合わないと思うし聞かないんじゃないかなぁ…。デルタ株の感染拡大は予測できたはずだし原則中止を促すなら4連休前に全国知事会は国とキャンセル料や補償の調整をするべきだったよね。
都道府県境またぐ旅行・帰省は原則中止を | 2021/8/1 – 共同通信 https://t.co/BxGzeGwbBT
— ハッピー (@Happy11311) August 1, 2021
高齢者層は比較的ワクチン接種が進んでいるものの、その子供や孫世代は依然として接種が進んでいない状況。さらに、感染爆発が起こっている都会からの帰省者を忌避する雰囲気が、地方では色濃いこともあり、昨年に続いてお盆の帰省を諦めたという人も多くみられ、そういった方々からは「生きているうちに親とあと何回逢えるのか」という悲痛な声も聞こえてくる。
「帰省」と「行楽」を一緒にしないでほしいな~。
生きているうちに会えなくなるかもしれない家族、去年も延期した。
先日の4連休は仕事で移動できず。
それでお盆は帰省中止?オリンピックやってるのに?— あすなが (@asunaga) August 1, 2021
もう帰省した方がいいよ。このままだといつまで経っても帰れないよ。正月に帰れる保証はないよ。親や祖父祖母に会えるのはあと何回だと思ってるの?帰省しないで後悔するくらいなら帰りなよ🙂#帰省中止 https://t.co/1oMrRorape
— やまやま (@yamayama785) August 1, 2021
これらの批判的な声は、ただ単に行動規制を強いられることではなく、「五輪は良いけど旅行や帰省はするな」という、その言っていること不整合性ぶりが怒りの火に油を注ぐ結果になっているようだ。
もう帰省した方がいいよ。このままだといつまで経っても帰れないよ。正月に帰れる保証はないよ。親や祖父祖母に会えるのはあと何回だと思ってるの?帰省しないで後悔するくらいなら帰りなよ🙂#帰省中止 https://t.co/1oMrRorape
— やまやま (@yamayama785) August 1, 2021
五輪やってて、PCRは自己負担。どなたかも書かれていたけど「でたらめなメッセージを受け取ると人は自分勝手に行動する」というのが現状なんです。一貫性のあるメッセージを国が出せないのが問題。
都道府県境またぐ旅行・帰省は原則中止を | 2021/8/1 – 共同通信 https://t.co/dBcWCsrYPn
— 森泉岳土@『アスリープ』描きおろし単行本7/13 (@moriizumii) August 1, 2021
さらに、会合内で飛び出したという「ロックダウン」の検討要請に関しても、一部からは「10万円おかわりも渋ってきた国が、補償が必須となるロックダウンを実際にやるわけがない」と高をくくった上での発言、といった意見も一部からはあがる。結局のところこの提言も、何ら有効的な策を打ち出すことはできず、ただただ知事たちが「やってる感」をアピールしたかっただけという見方が多いようで、言うこと素直に従おうといった殊勝な雰囲気は微塵もないといった状況だ。
旅行でコロナ広がるなら、熱海、
白浜、草津、別府など有名温泉で
感染が広がるはず。
地域の繁華街で若者中心に広がって
いるだけ。
かつて、尾身会長が旅行と感染
拡大の相関関係はない、と言って
いた。
知事会は、自分たちの地位を守りたいから、やってる感をだしているだけ。💀
SNS 猛反発— Yutaka Uga (@Yutaka777Music) August 1, 2021
憲法改正だと具合が悪いから、それをせずにロックダウン出来る方法を考えてちょーだい。
尚こちらからの提案はございません。ってのが全国知事会で雁首揃えた首長達が仕事やってる感出すためだけの策。 https://t.co/ptiPQDEO9j
— まがり🍞 (@magari01_tame) August 1, 2021
SNS上では「帰省大喜利」が大盛り上がり
そんな雰囲気のなか、ツイッター上や掲示板などで俄かに盛り上がりをみせているのが「#帰省大喜利」だ。
都道府県知事「帰省は原則中止して!」
国民「中止の考えはない。強い警戒感を持って帰省に臨む」
— ディーン・アタオカ@脱糞活動家 (@deendeen1506) August 1, 2021
感染症防止のために万全の対策を取って帰省する。
— フリオ・クルス@ケケ中平蔵から国民を守る会 (@juliocruz_noVAT) August 1, 2021
帰省先ではバブル方式で水際対策をする計画だ。
— hojay(手洗いしましょ!) (@hojay) August 2, 2021
「強い警戒感を持って帰省に臨む」「帰省の定義は定かではない」「バブル方式での帰省を検討しているためご指摘にはあたらない」「帰省を諦めるのは簡単だが…」などなど、帰省に対しての並々ならぬ決意等を、政治家の答弁っぽく表明するこれらのツイートは現在も増殖中。これらは今回の「帰省原則中止」という理不尽な要請への反発だけではなく、長引くコロナ禍を招いた政府の失政、さらにこんな状況でも五輪は強行するというダブスタぶりも揶揄したものだと言えそうだ。
月曜日にも関わらず、8月2日は都内で2000人を超える感染確認となるなど、収まる気配がまったくみられない新型コロナの感染拡大。そんななか、何らかの事情で帰省せざるを得ないといった方も多いかと思うが、くれぐれも感染予防対策を万全に行ったうえで、安心安全な帰省を心がけていただきたいものである。
Next: 「コロナに打ち勝った証としての帰省」