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戻りが弱い日本株、欠陥指標「日経平均」に頼る投資家たちが元凶に。夏の大荒れ相場に要警戒=江守哲

信用期日とソフトバンクグループ

日経平均株価は2万7,500円が重要だが、この水準を維持できるかは不透明である。

一方で、日本株独自の材料がある。それは、ここ数日繰り返し指摘している、信用取引の期日到来である。期日が到来する1〜2カ月前に損切りの売りが多くなる傾向がある。これが上値を抑える可能性が高い。高値期日から判断すると、7月下旬から8月上旬にかけて需給面が一番厳しくなるだろう。

日経平均を見ていくうえで、やはりソフトバンクグループ(SBG)の株価動向からは目が離せない。同社株は連日の年初来安値更新となっている。中国当局の規制強化の動きが引き続き警戒されており、8カ月ぶりの安値水準で推移している。規制強化の動きは、将来の投資先企業の上場などに対する不安につながる。中長期的なテーマになる可能性があり、株価の重石になりやすい。これに逆らうと必ず失敗する。つまり、SBGは政治との戦いをしていることになる。

ビジネス上の競争ではなく、政治や規制との戦いでは勝つ見込みはない。今後、SBGの成長性はどうなるのか。日経平均株価の方向性を見るうえで、きわめて重要なポイントになる。

もっとも、1つの銘柄で日経平均株価の方向性が決まるということの方が大きな問題である。いまだに日本経済新聞社がこれを見直さないことに驚くしかないのだが、プライドがあるのだろう。もっとも、いまの状態の方が市場は操作しやすいため、海外勢にとってはむしろ歓迎すべき状況であろう。

夏後半から秋にかけて修正高に向かう可能性

いずれにしても、高値期日を通過し、これら仮需の整理が進むことが相場反転の最低条件になりそうである。最近の下げで、ポジション整理がどの程度進んでいるのか、最新のデータでも確認したい。整理が進んだ結果、需給が改善されれば夏後半から秋にかけて修正高に向かう可能性はある。

無論、そのためには企業業績の上方修正と海外勢の買い、さらに米国株の上昇がセットにならないと難しいだろう。今年の夏場の相場展開に注目しておく。

いずれにしても、今後は今年の2-3月の株高時に高値を付けた銘柄の信用取引期日が8月から9月にかけて到来する。これが上値を抑える可能性がある。ソフトバンクグループ(SBG)やファーストリテイリングなど指数寄与度が大きい銘柄が含まれており、日本株の上値を押さえる需給要因として警戒しておく必要がある。

今年の年初来高値は、日経平均が2月16日の3万714円、TOPIXは3月19日の2,013.71ポイントである。

その後は下落トレンドに入り、それぞれ高値から10%安、5%安となっている。この時期に年初来高値を付けた銘柄は多い。2〜3月は東証1部の売買代金が3兆円前後で推移した日も多く、その後の下落によって高値圏で取り残された信用取引の買い建て玉は少なくないと推定されている。

信用取引を利用した売買は、決められた期限内に反対売買をする必要がある。無期限の信用取引もあるが、多くの投資家は返済期限が6カ月の制度信用取引を利用している。

したがって、高値を形成した場合、高値を付けた日から6カ月後の信用期日が「高値期日」として意識される。一般的に、期日が到来する1〜2カ月前に「やれやれ売り」や「見切り売り」が多くなる傾向があることから、今回は「高値期日から判断すると、7月下旬から8月上旬にかけて需給面が一番厳しくなるとの見方が多い。株価下落局面で逆張りをねらった信用取引の買いが増え、買い残が売り残を大幅に上回る状態となっている銘柄も多い。

SBGは年初来高値を形成した週には884万株だった信用買い残が直近では1,793万株まで倍増している。信用倍率は2.82倍から13.40倍に悪化した。ファーストリテイリングも26万株から58万株に増加している。

この2銘柄は指数のみならず、市場全体のセンチメントに及ぼす影響が大きいため、両銘柄の上値が重くなれば日本株全体にも悪影響を与えかねないといえる。

ただし、信用高値期日を通過し、これら仮需の整理が進むと相場が上昇に転じるケースが多い。期日を控えて前倒しで反対売買が進んだ場合は「期日向かい」と呼ばれる戻り相場となることもある。

このため、市場では日本株は過小評価されているとの見方が強まると、需給が改善されれば夏後半から秋にかけて修正高に向かう局面が訪れる可能性もあるとの指摘も聞かれる。

今回はどのような展開になるか、要注目である。

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