fbpx

戻りが弱い日本株、欠陥指標「日経平均」に頼る投資家たちが元凶に。夏の大荒れ相場に要警戒=江守哲

【国内経済指標】時計など高額商品が好調、百貨店売上は減少へ

日本百貨店協会が26日発表した6月の全国百貨店売上高は、総額3,715億円だった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言で、土日休業や時短営業を余儀なくされた店が多く、既存店ベースの伸び率は前年同月比1.6%減と4カ月ぶりに減少した。

6月下旬の宣言解除で客足は回復傾向に転じたが、前年同月の実績に届かなかった。コロナ流行前の2019年6月との比較では20.6%減と、依然として厳しい状況にある。

商品別の売上高は、衣料品が4カ月ぶりに減少。前年は夏のセールを月初から実施していたのに対し、今年は宣言解除後に遅らせたケースが多かったことが響いた。

一方、株高の影響で時計など高額商品は好調。総菜や菓子、酒類も巣ごもり需要で堅調だった。今年上半期(1-6月)の伸び率は、前年同期比10.3%増。19年上半期との比較では27.3%減だった。

国際通貨基金(IMF)の主席エコノミストは27日、新型コロナウイルス対策で規模が縮小された東京五輪に関し、2021年の日本経済に影響する「大きな要因になるとは考えていない」と明言した。ゴピナート氏は世界経済見通しの改定に合わせた記者会見で、日本の五輪関係投資は「大半がすでに行われ、過去のGDPに作用した」と説明。五輪会場の多くが無観客となることへの経済的な影響は極めて小さいとした。

一方で、コロナ感染拡大が収まらず、東京都などを対象に発令された4回目の緊急事態の影響は経済見通しに考慮していないと指摘。「成長が今回の見通しを下回る恐れがある」とした。IMFは今回の見通し改定で、日本の21年の成長率を4月時点の3.3%から2.8%に下方修正した。

5月の景気動向指数CI(コンポジット・インデックス)の一致指数の改定値は、前月値から3.2ポイント低下の92.1だった。速報値(92.7)から下方修正となった。先行指数の改定値は前月値から1.2ポイント低下の102.6で、速報値(102.6)と同水準だった。CI一致指数を踏まえた基調判断は速報の「改善を示している」で据え置いた。

自動車大手8社が発表した2021年上半期(1-6月)の国内生産台数の合計は、前年同期比16.0%増の399万台だった。前年同期に新型コロナウイルス禍を受け大規模な工場の操業停止が相次ぎ、生産が落ち込んだ影響でプラスとなった。ただし、世界的な半導体不足などで各社とも減産を強いられ、コロナ前の19年上半期(約470万台)には及ばず、回復のペースは鈍い。

国内生産は、8社中7社がプラス。14.3%減と唯一マイナスだったホンダは、5月に鈴鹿製作所の稼働を5日間停止するなど、半導体不足による相次ぐ生産調整が響いた。最近は各社ともコロナ感染再拡大による東南アジアからの部品供給難も目立ち、引き続き状況を注視する必要があるなどと慎重な見方が多い。海外生産の合計は38.1%増の830万台で、国内外を合わせた世界生産は30.0%増の1229万台だった。

同時に発表した6月の国内生産台数は、8社合計で前年同月比41.4%増の69万台だった。 一方、トヨタが29日発表したグループ全体(ダイハツ工業、日野自動車を含む)の上半期世界販売台数は過去最多の546万台。フォルクスワーゲンの497万台を上回り、上半期として2年連続の首位が確実となった。

6月の有効求人倍率は、前月比0.04ポイント上昇の1.13倍だった。3カ月ぶりのプラスとなった。有効求人数は横ばいだったが、有効求職者数が3.6%減少したことから、微増となった。新型コロナウイルスのワクチン接種を終えてから求職活動をしようとする動きがあるとみられる。6月の完全失業率は前月比0.1ポイント低下の2.9%と、3カ月ぶりに改善。有効求人倍率は、ハローワークに申し込んだ求職者1人当たりの求人数。景気の先行指標とされる新規求人数は4.9%のプラスとなった。

6月の鉱工業生産指数速報値(2015年=100)は99.3となり、前月比6.2%上昇した。上昇は2カ月ぶり。世界的な半導体不足に伴う減産で前月に大きく落ち込んだ自動車が急回復し、全体の指数を押し上げた。コロナ拡大前の2020年1月の99.1を上回るのは、今年4月に続いて2度目。生産の基調判断は「持ち直している」に据え置いた。

生産は、全15業種中11業種で増えた。自動車が22.6%上昇と大きく改善。普通自動車を中心に持ち直した。生産用機械も海外向けの半導体製造装置などが増加し、8.9%のプラスだった。出荷は12業種で増え、全体で4.3%のプラス。在庫は7業種で増加し、全体では2.3%上昇した。

生産予測は7月が1.1%の低下、8月は1.7%の上昇を見込んだ。ただし、経産省は「足元のコロナ拡大による経済への影響や半導体不足が反映されていない可能性があり、注意が必要」と指摘した。4-6月期の生産は1.0%上昇し、4四半期連続で増加した。

6月の新設住宅着工戸数は、前年同月比7.3%増の7万6312戸だった。4カ月連続のプラス。新型コロナウイルス感染拡大で下落した前年の反動などで、持ち家や貸家が押し上げた。 持ち家は10.6%増の2万6151戸。住宅展示場への来場者数などが戻ってきているという。貸家は11.8%増の2万9802戸。マンションなどの分譲住宅は1.5%減の1万9877戸。足元の感染急拡大による影響について、国交省は「見通しが不透明となっており、市場動向を見守る必要がある」としている。

続きはご購読ください。初月無料です

米国市場動向~FRBの株価下支え策が奏功か

欧州・中国市場~ユーロ圏の金利低迷が継続、中国は株安が止まるかを注視

日本株はやはり弱い展開

為替市場~ドル円はレンジ相場を抜け出すか

コモディティ市場~金は反発、銅は膠着状態、原油は堅調に推移

今週の「ポジショントーク」~8月相場をどう対処するか

ベースボール・パーク~「五輪をテレビ観戦」

※これらの項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!

2021年8月配信分
  • 「膠着相場の次の展開を探る」Part3(8/2)
  • 「膠着相場の次の展開を探る」Part2(8/2)
  • 「膠着相場の次の展開を探る」Part1(8/2)

いますぐ初月無料購読!


本記事は『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』2021年8月2日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方は、バックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した米国市場日本株、為替原油ほか各市場の詳細な分析もすぐ読めます。

【関連】LINE・ヤフー統合は日本復活の起爆剤。孫正義の打倒GAFAに現実味、鍵を握る4分野とは=馬渕磨理子

【関連】テスラが家庭の電気代を半額に?蓄電池パワーウォールの革新的ビジネスモデル=中島聡

【関連】ビットコインは年内1000万円も。昨年末時点で500万円到達を言い当てた専門家の展望。3つの急落材料とDeFi・NFTの最新動向も解説=大平

image by:yoshi0511 / Shutterstock.com
1 2 3

江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』(2021年8月2日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

有料メルマガ好評配信中

江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

[月額3,300円(税込) 毎週月曜日(祝祭日・年末年始を除く) ]
株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー