韓国株式市場でネイバーとカカオが急落した。与党が巨大IT企業への規制に言及したためだ。中国と同じような状況であるが、日本も決して他人事ではない。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は有料メルマガ『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2021年9月12日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
NAVERとカカオ株が突然の急落
まずはNAVERとカカオ株の急落について見ていこう。
それが起きたのは2021年9月8日。まず、9月7日終値でのNAVERとカカオの株価はそれぞれ44万5,000ウォン、15万4,500ウォンだった。
そして、次の日に政界で「プラットフォーム規制」議論のニュースが飛び込んできたことで、株価は急変する。
ネイバーは前日より7.87%安の40万9,500ウォンで、カカオは10.06%安の13万8,500ウォンでそれぞれ取引を終えた。
韓国市場において、NAVERの時価総額は総合3位、カカオは総合4位である。しかし、これによってサムスンバイオロジックスに抜かれてカカオは総合5位に落ちた。一夜にして13兆ウォンに近い時価総額が消失したことになる。
外国人による売買動向を見ると、外国人はNAVERを2,300億ウォン、カカオを4300億ウォンほど売っている。同日、外国人全体売り越し1位はカカオが、2位はNAVERとなった。
これを見ればわかるが、主に海外投資家がNAVERとカカオを売ったわけだ。
理由は政界でのプラットフォーム規制の議論である。ここからは、規制の内容と影響について解説していく。
「カカオ」は韓国版の楽天
急落の前日(7日)に、韓国の与党議員が討論会「118の系列会社を率いる恐竜カカオのタコ足拡張―プラットフォーム大企業の不公正取引根絶および街角商圏の生態系保護対策討論会」を開いた。何かよくわからない名前だが、ニュース記事で書いてある通りだ。
※参考:韓国与党、大型IT企業規制に言及し、ネイバーとカカオ株急落 – 韓国経済新聞国際版(2021年9月9日配信)
そもそもカカオとはどういう会社なのか。日本人はカカオトークぐらいしか知らないと思うが、討論会の名前の通り「118の系列会社」を率いる巨大なプラットフォーム大企業である。
つまり、韓国版の楽天(?)みたいなものと言えばよいだろうか。
主なサービスに、カカオトークというアプリがある。
それから、コミュニケーションにフェンカフェ、ブログサービス、動画・画像・音楽共有サービス。
生活関連として、カカオバンク、カカオペイ、カカオマップ、カカオナビなど。
エンターテインメント分野では、漫画・アニメなどがあり「ピッコマ」などは日本でも知られているだろう。私もスマホゲームをプレイしていると、よくこの宣伝を見かける。
次にコマースだ。コマースとは商取引のことで、ネット通販・ネットショッピングなどをEコマースと呼ばれている。
さらにAI・ブロックチェーン、ビジネス、ソーシャルインパクトなどもある。
このようにさまざまなプラットフォームを展開している。
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