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なぜイベント「声出しOK」のデマ拡散?制限緩和にぬか喜びと懸念の声。準備進むワクチンパスポートにも根強い拒否反応

10月からの緊急事態宣言などの解除に伴う制限緩和の内容が、東京都など各都道府県で固まって来ている。

報道によると東京都では、緊急事態宣言が解除された後の10月1日から24日までを「リバウンド防止措置期間」ということで、様々な対策を取るとしていて、なかでもイベントについては引き続き収容人数の制限を求めるものの、大声の歓声や声援が予測されるイベントに関しては、収容定員が2万人以下の場合は定員の50%、2万人を超える場合は1万人が上限とされるという。

小池都知事は「長きにわたって協力いただいている都民や事業者には引き続き負担をおかけするが、リバウンド防止のため理解と協力をお願い申し上げる」と発言しているという。

「10月以降は声出しOK」とのデマが流れる事態に

スポーツ観戦やアーティストのライブを観に行くのが好きな方にとっては、朗報といえるこのニュース。ただいっぽうで、これら一連の報道の影響で、10月以降はイベントなどで「声出しOK」になるというデマが拡散する事態も発生した。

どうやら、今回の件を報じた一部のネットニュースのなかに『東京都、午後8時まで「酒」OK イベント大声「あり」で午後9時まで』というタイトルのものがあり、それが多くの人々の誤解を呼んでしまった模様。当該記事はすぐに削除されたものの、その後も「声出しOK」というワードが独り歩きしてしまったようだ。

今回の報道で語られている「大声あり」「大声なし」というのは、あくまでもイベントの性格を分類するためだけのもの。同じ音楽イベントでも、クラシックやジャズのコンサートは「大声での歓声・声援等がないことを前提としうる」とされるいっぽう、ロックコンサートなどは「大声での歓声・声援等が想定される」と分類されており、それに応じて収容定員の上限などが変わってくる。もちろん基本的な行動ルールとして、各種イベント参加中のマスクの着用や大声を出さないといったことは、今後も引き続き求められる。

とはいえ、スポーツ観戦やライブ会場での声援がNGになって久しく、コロナ前の活気ある状況を恋しく思うのは無理のない話。昨今大いに取沙汰されているコロナを巡る「陰謀論」ではないが、今回の件もそんな声出しへの「欲求」や「願望」が、多くの人々をデマに飛びつかせたものとみて間違いなさそう。ただネット上では今回の件がきっかけで、10月以降のスポーツやライブなどの会場で大声で叫びだす人間が出てくるのではという危惧も、一部から浮上している状況だ。

制限緩和で進む「ワクチン検査パッケージ」導入だが…

いっぽうで、イベントなどの制限緩和においては、「ワクチン検査パッケージ」が大いに活用されそうだとも報じられている。

最近よく耳にするワクチン検査パッケージなる名称だが、要は以前から取沙汰されてきた「ワクチンパスポート」とほぼ同義。パスポートという言葉が持つ者・持たざる者の差別を呼び、また社会の分断も招くと不評だったため、分科会が主導して、ワクチン検査パッケージという名称に改めたようだ。

このワクチン検査パッケージだが、イベントではプロ野球などのスポーツ、音楽ライブ会場での活用が見込まれるとともに、今後もし緊急事態宣言が再発令された場合でも、同パッケージを活用して午後9時までの営業や酒類提供を認める方針とのこと。来たる10月からは、サッカーJリーグの試合会場においてワクチン検査パッケージを活用した観客制限緩和の実証実験が実施されることが決まっているなど、導入に向けて着々と準備が進んでいる。

ただ、その導入にあたっては、コスト負担や手続きの煩雑化など課題も山積しているといい、大規模なスポーツやライブ会場などならともかく、小規模な施設などで普及が進むかどうかは未知数。さらに、ワクチンパスポートが取沙汰されていた際にあがっていた、何らかの理由で接種ができない、あるいはしない人々への「ワクハラ」問題は、名称が変わったからと言って当然クリアされるワケはなく、反対する声は根強い。

最近は新規感染者数もすっかり減っているが、今冬の「第6波」到来は避けられない情勢。そんななかで実施されるイベント等の制限緩和だが、先述の声出しを巡る是非なども含めて、現場では当分の間は混乱が続きそうだ。

Next: 「心の底にある“願望”がそう読ませてしまう」

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