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日本郵便「個人情報29万人分」紛失、膨大な書類を誤って破棄。企業間では年賀状廃止の動きも広がり、今後は“ペーパーレス化”への対応が課題に

日本郵便において、顧客の個人情報が記載された書類の紛失が見つかったことが発覚した件で、同社の調査によって、全国47都道府県にある6565箇所の郵便局で延べ29万人分の紛失を確認したと報じられている。

報道によると、紛失が明らかになったのは、投資信託や国債の取引を行った際に作成する「金融商品仲介補助簿」にくわえ、公共料金の「払込取扱票」などの控え書類。法令に基づく保存義務を満たす前に、誤って廃棄されるケースが多かったようで、日本郵便は「外部への情報漏えいの可能性は極めて低い」と説明している。

また、今回の件で日本郵便が15日に出したリリースによれば、郵便局内では紙媒体で作成・保存すべき書類が膨大で、そのことが廃棄といった誤った取扱いに繋がったとも釈明。今後、再発防止策のひとつとして、「仲介補助簿」の紙媒体での保存の廃止、また他にもある郵便局での保存する書類に関しても、削減や電子化(ペーパーレス化)などを順次進めいくとしている。

SDGsを理由に年賀状を廃止する企業に冷たい視線

このように全国の郵便局で顧客個人情報の紛失に揺れるなか、同じく郵便絡みの話題としてネット上で大いに取沙汰されているのが、企業の間での恒例行事だった年賀はがきによる新年のあいさつを、ここに来て取りやめる動きが広がっているという話題だ。

報道によると、NTTにおいては社長と副社長名で送っていた年賀状を2022年用から廃止したほか、KDDIでも同様に2022年用から年賀状を送付しないことを決めるなど、この年末のタイミングで年賀状送付を止めるところが多く出ているとのこと。

その背景には、虚礼廃止の機運やデジタル化の進行にくわえ、昨今のコロナ禍などによるテレワークの普及、さらに環境意識の高まりによって紙資源の利用が幅広く見直されていることもあるようだ。

ネット上でも「まぁ、メールで済むもんね」と、親戚や友人知人などとの間でのやりとりはともかくとして、仕事上の取引先などとの年賀状のやり取りが廃止される流れに関しては「仕方がない」といった声がほとんど。また、年賀状作成の準備や送付などにかかる手間がなくなるといった理由などで、この流れを歓迎する声もかなり多いようだ。

しかしそのいっぽうで、年賀状廃止の理由として“環境意識の高まり”が挙げられることに関しては、「なんでもかんでもSDGsっていえばいいとでも思ってるのか」といった反応も。

SDGsに取り組む企業が増えてきて久しい昨今だが、なかには「相変わらず日本人はSDGsを環境活動と勘違いしてる」「年賀状=紙ゴミだと言っているようなもの」との声もあがるなど、この件で企業がSDGsを格好の名目として使いたがる風潮に対しては、どことなく違和感を覚えるといった向きは、結構多いようである。

課題となる“ペーパーレス化の波”への対応

このように、企業間においては様々な理由によって廃止するところが増えている年賀状のやりとり。その影響もあってか、2022年用のお年玉付き年賀はがきの発行枚数は、前年比で6%減の18億2536万枚にとどまったと報じられている。

ちなみに、これまで発行数が最も多かったのは、2003年の44億5,936万枚だったようで、ここ20年ぐらいで半減以下にまで大きく落ち込んでいる模様だ。

年賀状といえば、ちょっと前までは毎年のように局員による“自爆営業”の問題もしきりに報じられていたが、そこまでしてもここまで減らし続けているとなると、これはもう“ジリ貧”というレベルを通り越して、もはや“オワコン”ではという声も聞こえてきそうな状況である。

膨大な紙書類の存在が引き起こしたともいえる顧客情報紛失と、企業間で急速に進む年賀状廃止の動き。苦境からの脱却を図る日本郵便だが、そんな“ペーパーレス化の波”という課題に対し如何に対応していくかも、今後の浮沈を左右するカギとなっていきそうだ。

Next: 年賀状文化の衰退は余裕のなさの表れか

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