fbpx

電動キックボード“免許不要”の法改正に賛否噴出。ドライバーは「キックボードミサイル」に戦々恐々。事故激増中での規制緩和に「利権絡み」を疑う声も

近年日本国内でも利用者が増えている電動キックボードに関して、警察庁が運転免許を不要とする道路交通法の改正を検討していることが判明し、ネット上ではその是非を巡って大きな議論となっている。

各社の報道によると、車体が長さおよそ1m90㎝、幅およそ60㎝で最高速度が時速20㎞以下のものを、原動機付自転車とは別に「小型低速車」と位置づけ、今後は運転免許を不要とし、車道だけでなく自転車専用レーンや自転車道も走行できるようにするとのこと。

警察庁は、この新たな交通ルールを含めた道路交通法の改正案を、来年の通常国会に提出する方針だという。

念願の法改正も世間からは冷ややかな反応

近未来の移動手段として世界的に大いに期待を集めている、電動キックボードに代表されるマイクロモビリティ。すでに海外の多くでは、電動キックボードのシェアリングサービスがすでに普及しており、街中がそれらが疾走するのが日常の風景となっているようだ。

ただ日本においては、電動キックボードが原動機付自転車としてカテゴライズされたため、公道を走るためには電動キックボード本体が道路運送車両法の保安基準を満たす必要があり、さらに乗り手も原付運転免許の所持やヘルメットの着用が求められるなどといった、数々の障壁が立ちはだかる格好に。

故に諸外国と比べて普及のスピードはかなり緩やかとなっていただけに、今回報道された道交法改正への動きは、電動キックボードの普及を進める立場からすれば、まさに念願といったところだろう。

ところが、世間の反応をみると、今回の電動キックボードに関する規制緩和の動きに対しては、否定的な意見が結構多い印象。テレビのニュース番組などでも、今回の道交法改正報道に付随する形で、電動キックボードユーザーによる“歩道の走行”“信号無視”“スピード超過”などの無謀運転の数々を、こぞって紹介しているような状況だ。

ネット上でも、電動キックボードの普及自体には賛成といった声も見られるものの、普段からクルマを運転する人たちからは相当嫌がられているようで、なかには「電動キックボードミサイルがプリウスミサイルより深刻になりそう」といった声も。

池袋暴走事故に代表される高齢者による暴走事故が相次いだ際、その車種の多くがプリウスだと取り上げられたことから、街中で無謀かつ不規則な動きをするクルマの俗称として、SNSや動画サイトなどで広まっている“プリウスミサイル”。今後はそれらにとって代わって電動キックボードの存在が、市井の交通秩序を乱す元凶となるのではと、今から戦々恐々といった様子のようなのだ。

ブーム先取り層の危険運転が普及を阻害する悪循環

電動キックボードに関しては、上記のような危険運転の横行もあってか、事故のほうも着実に増えている状況。特に東京都内では、2021年1月~11月までの11か月間で人身事故が16件、物件事故が44件発生したといい、つい先日には警視庁が違反の取り締まりを強化する方針であると、報じられたばかりだ。

にもかかわらず、その上の警察庁は電動キックボードに関しての規制を緩和する方向ということで、その対応のチグハグぶりにも疑問の声が。マイクロモビリティの普及に関して、欧米諸国とは周回遅れといった状況だけに、それに焦ってのことだという見方もあるいっぽうで、一部では「利権絡みではないか?」という謂れのない話まで噂される事態になっており、それだけ今回の話に唐突感や違和感を抱く人が多いということだろう。

理想通りに普及・発展していけば、都市部での渋滞解消や自動車から出るCO2の削減などと、いいことづくめなはずの電動キックボード。ただ日本においては、欧米での普及ぶりを目にしていち早くブームに乗っかった層の一部による危険・無謀な運転といったふるまいによって、世間一般からはさっそくネガティブなイメージを持たれるという、さしづめ身内に足を引っ張られているような状況とも言えそうである。

Next: 「セグウェイはぶち殺したのに…」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー