アメリカも中国も超長期的には衰退?
ゴールドマン・サックスの予想によれば、2050年にはアメリカと中国が入れ替わります。このことは、ジム・ロジャーズのマクロ分析と一致しています。
しかしながら、注目すべき事実があります。過去の歴史を振り返って、「挑戦国が覇権国と入れ替わったことはない」という事実です。
覇権国 挑戦国
16世紀 ポルトガル スペイン
17世紀 オランダ フランス
18世紀 イギリス フランス
19世紀 イギリス ドイツ
20世紀 アメリカ ソ連
16世紀はポルトガル、スペインの時代でしたが、17世紀に入ると、両国ともに衰退しています。16〜20世紀の覇権国、挑戦国を見ていくと、挑戦国が覇権国になっているわけではありません。ここがとても面白いところだと思います。普通、第2の国である挑戦国が覇権国に勝利すると、入れ替わるのかな!?と思いきや、まったく別の国が台頭してきています。
この歴史的事実から、中国がアメリカに挑戦している状況から両者がひっくり返ったり、入れ替わったりすることはなさそうです。
ケース1:
覇権国 挑戦国
21世紀 アメリカ 中国
ケース2:
覇権国 挑戦国
21世紀 中国 アメリカ
ケース1もケース2も過去の歴史からは考えにくいのではないでしょうか。入れ替わるのではなく、「別の国がやってくる」というのが今までのパターンでした。新世紀では、今のガチガチの資本主義ではなく、もっと違った形の秩序が生まれるのかもしれません。
ここで思い出されるのが、ジョージ・ソロスが2008年1月のダボス会議で発言していた「ドル基軸通貨体制崩壊」について。
著名投資家のジョージ・ソロス氏は23日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、世界的にドル離れが進んでいるとの認識を示した。
同氏は「金融市場には保安官が必要だ。世界はドルを買い増すことに消極的だ」と発言。「現在の危機は、ドルを国際通貨とする時代の終えんを意味する。ワシントン・コンセンサスではなく、新しい保安官が必要だ」と述べた。
出典:ロイター「世界はドルの買い増しに消極的=ジョージ・ソロス氏」2008年1月23日
今、私たちが生きている時代は過渡期です。ジョージ・ソロスの発言から、アメリカの相対的なパワーバランスは落ちつつあります。中国やインドという人口の大きい国が力をつけてきたためです。
ところが、これらの国が「覇権国」と入れ替わる可能性は低いという歴史的事実は、頭の片隅においておきましょう。
今のところ、「新しい秩序」が生まれる気配はありません。新しい秩序が生まれるまでは、21世紀もアメリカが覇権国の地位をキープしたまま、そのまま突っ走るでしょう。今の秩序(アメリカ式資本主義)はアメリカが作ったもの。だから、当然、アメリカの企業がやはり強いのです。米国株に投資するという戦略は正しいと思います。
あれ?結局、「米国株に投資するという戦略は正しい」ということを言いたかっただけ?いえいえ、違います。
一番、伝えたかったのは100年、200年という超長期的には、「アメリカも中国もゆっくりと衰退している」という解釈が最もしっくりくるということを言いたかったのです。
しかし、今の秩序ではやはりアメリカが強いです。通常、覇権国は1世紀しか持たないと言われているのに、アメリカは20世紀も覇者で、21世紀も重要な国(全体のGDPでも世界第2位)であり続けることは確実です。ゴールドマン・サックスの長期予想とウォーレン・バフェットの発言が一致している点に、私は注目しています!