住宅ローン減税「見直し」で日本の不動産市場はどうなる?
丸山:世界に目を転じてみると、いち早く景気が立ち直っているアメリカを筆頭に、政策金利を上げる動きが活発化してきています。
住宅に関しては、大きな変化がありました。今年から住宅ローン減税が改正され、今後は恩恵が少なくなっていくことが明らかになったことです。
そもそも住宅ローン減税とは、住宅ローンを組んだ際に、そのローンの年末残高の1%を、その年の所得税額から差し引く減税措置のことを言います。
住宅ローン減税の主な改正点を挙げると、以下の通りです。
丸山:すでに改正前の駆け込み需要は一服したとはいえ、大きな時代の流れが「金利の上昇」「住宅ローン減税の縮小」といった方向に向かうことが明白となったことから、「今のうちに購入しておこう」という動きが当面、続くことが予想されます。
俣野:不動産価格も、すでにかなり上がっているとは思いますが、まだ上がる可能性がある、ということでしょうか。
丸山:低い金利でお金が借りられるために購入希望者が多く、市場も上昇基調にあることから、売主であるオーナー様も強気になっている方が多いように感じます。
俣野:住宅ローン減税改正の影響は、まだ見られない、と。
丸山:業界の中でも、住宅を専門に扱っているところなどでは、すでに影響が出ているとも聞いています。
高所得者のメリットは大きく減少
丸山:従来の住宅ローン減税は、特に高所得の方にとって、かなり節税効果が高くなっていました。たとえば弊社の顧客の中にも、年収2,000万円の個人事業主の方が、賃貸をやめて近くのタワーマンションの部屋を購入された例などがございます。
俣野:住宅ローン減税は、所得からの控除ではなく、税額から控除されるので、戻ってくる税金が大きくてインパクトがありますよね。しかも、所得税から控除しきれない分は、住民税の一部からも控除されますし。
丸山:はい。しかし今回の改正で、高所得の方にとってのメリットは、かなり下がってしまったのが実情です。
俣野:住宅ローン減税改正による、中所得者層への影響はいかがでしょうか。
丸山:それに関しては、シミュレーションを見ていただいた方がわかりやすいと思います。