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「競馬に使った」でカネ隠し?グローリー子会社社員が21億円もの巨額横領。足が付きにくい“ギャンブル”を用途とした横領事件がここに来て頻発の怪

券売機や両替機を製造する大手メーカー「グローリー」の子会社に務める社員が、なんと21億円以上もの大金を横領していたことが判明した。

問題の子会社社員は2005年に入社し、経理業務を1人で担当。売上金を口座に入金せずに着服したり、子会社の口座から自分の口座へネットバンキングで数百回以上にわたり送金したりするなどの手口で、13年間で計約21億5,500万円を横領していたという。

今年1月に不審な点が発覚し、上司が取引明細を確認したところ不正が発覚。聞き取りなどによると、横領したうち約17億6,000万円を馬券の購入に使い、残りは飲食費や遊興費に使ったのだという。元社員は3月11日付で懲戒解雇となり、会社側は横領容疑で警察に告訴する方針だという。

巨額横領がまったくバレなかった背景とは

21億円強という巨額な横領額に、驚きの声も多くあがっている今回の件だが、報道によるとその横領額が一気に増えたのは20年以降だという。

というのもグローリーは、コロナ禍によって事業に打撃を受けた子会社のために、4.5億円を限度にいつでも子会社への資金融通が可能なシステムを導入していたほか、さらにその枠とは別に、コロナが理由ならほぼ無制限に必要額を貸し付ける特例措置も行っていたという。元社員のいた子会社への特例での貸付総額は、今回の件が発覚した今年2月の段階で12億円にも達していたといい、その大半は元社員の口座に送金されていたという。

ネット上からは、これほどまでの横領額がゆえに「なんでバレなかったのか」という声もあがっているが、先述の通り元社員が経理業務を1人で担当していたうえに、預金残高の証明書を切り貼りするなどの隠蔽工作も行っていたとのこと。

それらにくわえて痛かったのは、元社員の上司は改ざんされた帳簿の書類をチェックしていただけで、実際に残高確認などはしていなかったというところ。横領する側にとっては、易々と着服できる条件が揃っていたといっても過言ではない環境だったようだ。

「横領した金はギャンブルに…」の供述に疑惑の視線も

つい先日には、とある弁護士が成年後見制度などを悪用し、およそ8,000万円を私的に流用したことが判明したばかりだが、この手の横領・私的流用の類はここに来て頻発している状況だ。

【関連】また成年後見の弁護士が着服か。約8000万円を私的流用&競馬に使ってすっからかん。法律家をも狂わせる“ギャンブル依存症”の恐ろしさ

今月だけでも、長崎県対馬市では市職員が市や県でつくる任意団体が管理していた公金約6,000万円を着服していたことが発覚。また名古屋市では、建設工事会社の営業担当が仕事で仕入れたタブレット端末やパソコンなど82台を勝手に売却し、1,156万円余りを横領していたとして、業務上横領の疑いで逮捕されている。しかもこれらのケースはすべて、不正に手に入れた金の使い道が、競馬やボートレースといったギャンブルだったというのだ。

そんななかでも、今回のグローリー子会社の件は、21億円以上の横領額でそのうち約17億円を馬券に突っ込んでいたというのだから、他の事例と比較してもかなりスケールがデカい話。そこまでのめり込んでしまうものとはと、SNS上ではギャンブル依存の恐ろしさを大いに物語る事例として捉える向きも多いいっぽうで、それ以上に「馬券センス無さすぎ」といった声も多くあがっている状況。

さらに、一部からは「どこかに隠しているだろ?」といった声もチラホラ。実際、横領した金で形あるものなどを買ったり、あるいは株をはじめとした投資商品を買っていると、使い道が調べられてしまうが、競馬などの公営ギャンブル、それもネット投票ではなく現地で購入したのであれば調べられようがない。そのため、ギャンブルで全部溶かしてしまったことにして、どこかに現ナマで隠しているのではないか……というわけだ。

そうなると、昨今“横領・流用した金をギャンブルに……”という話が多いのも、そういった意図があるのではと、疑いたくなってしまうところ。今回の件に関してだが、会社側は元社員を横領容疑で警察に告訴する方針とのことで、今後はその横領した巨額な金の“真の行き先”にも視線が注がれそうだ。

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