来月のFOMCでの0.5%利上げ観測が強まっている。韓国は先んじて利上げをしたが、外貨流出は止まらず、ウォン安・株安・債券安のトリプルパンチに見舞われている。韓国経済は低迷しており、この利上げがさらに景気を冷やす可能性が高い。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は有料メルマガ『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2022年4月17日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
止まらぬインフレ。3月米消費者物価指数は40年ぶりの高水準に
現在、韓国経済で重要なイベントは、実は韓国経済の外側にある。
その1つとして米消費者物価指数というものあり、3月は8.5%だった。40年ぶりの高水準である。私の最悪予測の9%にはいかなかったが、8%の時点では高止まりとなった。
ついでにいくつか他の指数を見ていくと、米生産者物価指数も前年比11.2%上昇と過去最大の伸びとなった。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比1%上昇し、前年比では9.2%上昇。前述の米消費者物価指数と合わせて、高インフレが浮き彫りにされている。
原因はいろいろあるのだが、やはりウクライナ戦争の影響が大きい。エネルギー・食品・金属価格が押し上げられた。
米利上げ「加速」観測
米消費者物価指数と米生産者物価指数がどちらも高水準となったことで、ますます、5月のFOMCでの利上げ観測が強まった。
しかも、従来は0.25%の利上げ予測が、現在では0.5%利上げの方に傾いてきている。
ブルームバーグによると、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、現在の低金利環境を踏まえれば、0.5ポイント幅を含めた利上げペースの加速は「妥当な選択肢」と述べている。
また、ウィリアムズ総裁は、金融当局は利上げに向けて「迅速に」行動すべきだとし、自身が考える中立金利は2~2.5%の範囲内だと述べた。ただ、中立水準に至るまでのペースや、中立を超える必要があるかどうかについては、今後の経済の道筋に左右されると指摘している。
この「中立金利」という概念はこの先もよく出てくると思うので説明しておくと、景気を刺激も抑制もしない水準の金利とのこと。これが2~2.5%の範囲。だから、この中立金利の水準か、またはこれよりも上がっていく可能性が高い。
ただ最近の見解では、この中立金利の水準に年内まで一気に引き上げるのか、それとも数年かけて上げていくのかで意見が分かれている。前述のウィリアムズ総裁が述べていることと一致している。
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