「自由」を何度も繰り返すユン氏の就任演説
次に、ユン氏の就任演説もジェトロから見ていこう。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領は、就任演説冒頭で、韓国を自由民主主義と市場経済体制を基盤に、国民が真の主役である国として再建し、国際社会で責任と役割を果たさなければならないと強調した。
続いて、国際情勢について、新型コロナウイルスの感染拡大、貿易秩序の変化とサプライチェーンの再編、気候変動、食糧・エネルギー危機、紛争の平和的解決の後退、低成長と大規模な失業、二極化の深化と社会的な葛藤などに韓国を含む多くの国が苛まれているとし、「その原因は反知性主義にある」と指摘した。また、このような世界情勢の中で問題を解決していくためには、「自由」という普遍的価値を共有することが重要であると訴えた。
そして、「科学と技術、革新は、韓国の自由民主主義を守り、自由を拡大し、われわれの生活を持続可能にする」としたうえで、技術の進歩と革新を遂げた国々との協力と連携の必要性を強調した。
朝鮮半島情勢では、「北朝鮮が核開発を中断し、実質的な非核化に向かうのであれば、国際社会と協力して北朝鮮経済と北朝鮮の人々の生活を画期的に改善できる計画を準備する」との基本的方針を示した。
まず、私の率直な感想だが、文在寅大統領の自画自賛と違って、普通の演説だなと感じた。しかも、民主主義よりの演説だ。自由と平和を何度も強調しているところからもそう感じる。
そして、北朝鮮については非核化に言及している。この演説は無理難題が多く含まれているので、5年の任期で上記をどれだけ現実化させられるのか。
「ウォン安」が足かせに
しかも、ユン氏にとって痛いのは就任早々、1,300ウォンに迫る通貨安である。韓国総合株価指数(KOSPI)も2,550に下落し、ご祝儀相場なんてものはない。経済ド素人であるユン氏への市場の評価がよくわかるだろう。期待されてないのだ。
まともで普通の演説ではあるが、韓国が置かれている状況は最悪としかいいようがない。
<先週の韓国証券市場>
日付:KOSPI ウォン KOSDAQ 外国人(ウォン)
09日:2,610.81 1,274.0 860.84 -1,957億
10日:2,596.56 1,276.4 856.14 -3,196億 ← ユン氏の就任式
11日:2,592.27 1,275.3 866.34 -2,889億 ← 4月の米消費者物価指数発表
12日:2,550.08 1,288.6 833.66 -2,797億
13日:2,604.24 1,284.2 853.08 642億
先週の韓国市場はひどい惨状だった。KOSPIも年内最安の2,550まで落ちている。ウォンも1288ウォンに到達。外国人が連日売り越している。13日に少し持ち直しているが、どう見ても市場に介入して無理に上げた感が強い。しかも、13日の時間外では1,272ウォンまで押し戻している。