NTTドコモが「ドコモショップ」に関して、2035年度までに店舗を3割削減する方針を固めたことが報じられ、ユーザーからは様々な反応が飛び交っている。
報道によると、インターネットでの手続きが普及し、来店客が減っていることから、店舗を閉鎖してコスト削減を進めるのが狙いとのこと。現在、全国にドコモショップは約2,300店舗あるといい、その3割に当たる約700店舗が削減対象となるという。
NTTドコモは今後、ユーザーが自宅からテレビ電話で店員に相談できる環境なども整備するといい、ネットでの手続きに不慣れな高齢層らにも配慮するという。
浮いた人件費で人気のKDDI「povo」に逆襲か
今年に入り、度々噂されていたドコモショップの大量閉店。3月時点の報道では、2022年度中に約100店舗を、トータルで計400~500店舗を閉店する計画だとも伝えられていたが、実際のところは約700店舗が対象と、より大規模な削減となる模様である。
ある程度の年代以上のドコモユーザーなら、ケータイやスマホの購入、あるいは料金プランの見直しなどで、幾度となく訪れたことがあるであろうドコモショップ。ただ最近では、ウェブ上で各種手続きが完結できるようになり、さらに50代以下のユーザーに関しては、機種変更の際もネットを利用して購入する率が急激に上がっているというデータもあるようだ。
そこでNTTドコモとしては、ドコモショップの整理を行うことで人件費の削減を図り、その浮いた分をさらなる料金値下げに回したいといった思惑もあるとのこと。
折しも最近のスマホ業界は、楽天モバイルが「0円プラン」の廃止に踏み切ったことで、他社への移行を検討するユーザーが激増中で、大手3社の格安ブランドなどがその大量のユーザーを巡って激しい争奪戦を繰り広げているところ。
なかでもKDDIが提供する「povo」が、基本料金0円で利用可能なプランが存在するということで人気が集中しているといい、「ahamo」を擁するドコモとしてもそれに対抗できる新プラン設定など、逆襲のための原資を確保したいところでもあり、ゆえに大規模な人件費削減策に踏み切ったともいえそうである。
時間や手間ばかりかかる高齢客の対応に苦慮?
浮いた人件費が利用者に還元されるのであれば、利用者にとっては喜ばしい限りといった今回のドコモショップ削減計画。しかし、その反面で最近のドコモショップに多く集うとされる、お年寄りたちはどうなるんだ、といった声もチラホラと聞こえてくる。
先述の若年層を中心としたスマホのネット購入率の急上昇にくわえ、最近ではスマホ所有があらゆる年代へと広がったことから、ドコモショップ来店者の割合の多くを占めるようになった高齢者たち。
そのような状況下で過去には、スマホに不慣れな高齢者を狙って、一部のドコモショップが様々な有料オプションをてんこ盛りに付けることが常態化していることが発覚し、多数の批判が寄せられる事態に。さらに同じ頃には、それまで無償で提供してきたデータのコピーやアカウントの設定といった各種サービスの有料化にも踏み切り、これに対しては「高齢者を排除するためか」といった声も多くあがった。
さらに2021年に格安ブランド「ahamo」がサービス開始となると、その切り替えの手続きがうまくいかなかったことに怒ったあるユーザーが、ドコモショップに駆け込んでクレームを入れるという事態も発生、このこともSNS上などで大いに物議を醸した。
このように「コロナ禍で老人の憩いの場が病院の待合室からドコモショップに移った」とも実しやかに語られるほどの状況となっていたものの、ドコモ側からすれば時間や手間ばかり取られて利益にならない客ばかり増え、さらには自分の無知を棚に上げてトラブル起こす人間も現れる始末とあって、その対応にかなり苦慮していたのは明らか。それだけに、ここに来て真っ先に“切り捨て”の対象となったのも、致し方ない面もありそうだ。
とはいえ、「利用者が減っている」とされるドコモショップだが、SNS上からは「いつも混んでいる」といった声も多く、今後その混雑に拍車がかかるとの見方も。また、店舗削減によるサービス低下の可能性もあるわけで、予測より大胆なものとなったドコモの店舗削減計画が今後どのような影響を及ぼすのか、ユーザーからすれば大いに気になるところだろう。
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