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エアコン停止で死ぬか、電気代高騰で飢えるか。今夏の電力不足は無為無策の岸田政権のせい=今市太郎

原油高騰と円安急伸で燃料代は爆上がり

原油高や天然ガス高は、確かにロシアが絡んでいる問題です。

それでもウクライナ侵攻だけが問題なのではなく、米国バイデン政権が主導する形で世界中に広がりをみせた地球温暖化防止のための脱炭素の動きが深く関わっています。

脱石油といった動きは結果的に「グリーンフレーション」という形で価格高騰を招いている状況です。

こちらも日本政府に世界的な状況の把握能力があれば、いち早く対策を取るべきものであることが見えてきます。

またエネルギー輸入に依存する電力やガスの業界は原料自体が高騰しても、為替が円安に振れてもいつでもなんの躊躇もなく顧客に価格転嫁できるとタカを括っている節があり、本邦の輸出勢が精密に為替予約を行うといったことをしない習慣があるのも、電気代の高騰にダイレクトに影響を及ぼしている状況です。

さらに岸田政権は「円安は総合的にみて経済にプラス」というとんでもない思考を継続中で、年初から20%近く上昇したドル円価格はそっくりそのまま国民負担に付け替えられようとしています。

大停電で死ぬか、超高額電気代で滅びるかのサドンデス状態

この夏の電力ひっ迫問題はまず需給がひっ迫して大停電などの不測の事態を引き起こすリスクがありますが、電気料金の高騰はそれとはまったく関係ない要因を引きずっていることがご理解いただけると思います。

この視点で考えますと、節電したらポイントがもらえるというのは需給ひっ迫の解消には貢献するのでしょうが、価格高騰という本質的物価高とはなんの関係もなく、とてつもない印象操作のインチキプロモーションであることも理解できます。

またこうした状況の火に油を注ぐことになっているのが、電力自由化の大失敗の問題です。

既存の電力各社は確かに独占的に電力事業を行ってきたことから、これに起因する問題は数多く示現することになりましたが、その一方で、地域の電力を安定的に供給してきたことも事実でした。

しかし電力の自由化の実施は、競争環境を導入することで市場をより活性化することが期待されたものの、既存の電力会社は利益優先志向の発想から火力発電所など保有コストのかかる発電施設の廃棄を進めており、夏の需給ひっ迫が顕在化しても、簡単に予備施設を稼働して不測を補うことができなくなるという問題も引き起こしています。

さらに自由化で新規参入した事業者は当初は電気代が安くなることだけ顧客に訴求してきましたが、実は状況次第で価格が暴騰することや供給事態ができなくなることはまったく注意喚起できていなかったことから、今頃になって価格暴騰と供給不能から使い物にならない事業者まで登場する惨憺たる状況を露呈させています。

この夏は電力不足の大停電下の熱中症でくたばるか、はたまた暴騰料金で滅びるかの選択を国民は迫られることになりそうで、電力ポイントなど「焼け石に水」以前の問題に陥っている状況です。

Next: 原発再稼働の絶好のチャンスに使われている可能性も

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