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娘がワクチン接種で「ターボ癌」に?医師も初耳な奇病をダシしたSNS詐欺が横行。特定されずともツイート内容で“絶好のカモ”になる可能性も

新型コロナワクチンの副作用で“ターボ癌”なるものに罹ったとして、手術費用のカンパを募るというツイートが「明らかに詐欺だろ」と、大きな話題になっているようだ。

渦中のツイッターアカウントは今年11月に開設されたもので、まずは11月下旬に中3の娘がコロナワクチン接種後に学校に行けなくなったというツイートがあり、コロナワクチンに対して懐疑的な人々を中心として、早々に注目されていたようである。

ところが、そのわずか1週間ほど後に娘が肝臓ガン、しかも進行が早いターボ癌であると告知されたと、そのツイ主は投稿。手術費用に500万円がかかるとして、フォロワーなどにPayPayを介しての送金を募っていたようだ。

ただ、一連のツイートが広まるなかで、これは見るからに怪しいと踏んだ向きからの冷静なツッコミも増え始めたようで、それもあってかツイ主は突然アカウントを消去。そのまま逃亡したということである。

あの人気タレントも罹患との噂も流布する“ターボ癌”

事の経緯からみても悪質な釣り、あるいは詐欺罪にも問われかねない行為といったところだが、そんななか注目を集めているのが“ターボ癌”なるワード。

先述の通り、進行の早いガンのことを指すらしいこのターボ癌だが、どうやら今回のツイ主がの投稿が初出というわけではなく、そのちょっと前からSNS上の一部界隈で取沙汰されていた模様。

なんでもコロナワクチン接種が始まって以降、激増しているとのことで、転移の早さ以外にも攻撃性が高く治療抵抗性が高い、といったような傾向があると、一部の間で話が出回っていたといい、挙句の果てには有名有名人も多く罹患している……といった、根も葉もないような噂も浮上していたようなのだ。

ところが、今回の“詐欺騒動”がネット上で拡散するなか、ターボ癌というワードに接した医師の方とみられるSNSアカウントからは、「聞いたことが無い」という声が噴出する格好に。

このように医師でも“初耳”だという病名や症例にくわえて、「高額療養費制度はどこにいった?」といったところの“500万円”というやけに高額な手術費の提示、さらにPayPayの規約に違反するような方法での集金など、冷静にみればいかにも不自然といった点が相当あったようだ。

12月は特殊詐欺の被害総額が多いシーズン

SNSを活用してPayPayで集金というスタイルは少々イマドキかもしれなものの、いうなれば数ある詐欺の形態のなかでも“募金詐欺”と呼ばれる、ぶっちゃけ使い古された手口だったとも言えそうな今回の件。

いっぽうで、巷で“反ワクチン”といわれるような層をターゲットにしている点に関しては、なかなかずる賢いのでは……といった見方も。つまり、事の真偽はともかくとしていわゆる“陰謀論”だと世間で見做されているような物事を信じている人々というのは、騙す側からすればまさに“上得意”なのでは、というのだ。

そういえば昨年の秋頃には、ベッドの下に置いて寝るだけで“歯が再生する”“若返る”“病気が治る”“よく眠れる”などの効能を得られるという、その名も「テスラ缶」なるアイテムが高額で取引されていることが、大きな話題となったことも。

ネット上では、いかにも怪しげだといった声が多く飛び交っていたのだが、その反面でコロナ陰謀論界隈では大いに持て囃されていたという状況を踏まえれば、そういった見方もあながち的外れではない……といったところかもしれない。

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SNSの普及に伴い、そういった場での詐欺行為など犯罪行為も多発するいっぽうの昨今。自身や周囲の人たちの名前や住所などの個人情報が突き止められる、いわゆる“特定”を防ぐべく、不用意な発言や写真の投稿には気を付けるというのが、このところは当たり前になっているが、今回のケースを見てみるとそういったことなど関係なく、日頃SNSに投稿している内容如何でも、詐欺に目を付けられる可能性があるという、なんとも恐ろしい世の中に。

しかも、今回の件はPayPayを介して送金を募っていたが、それ以外にもSNSとの親和性の高い個人間送金サービスが、ここに来て多く登場しているところ。額の多少はともかくとして、YouTubeなどのスーパーチャットや投げ銭感覚で、見ず知らずの人間に送金することへのハードルが格段に下がっていることも、この手の詐欺による被害拡大に一役買っていると言えそうである。

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ちなみに、警視庁が調べた昨年の特殊詐欺の月別被害総額のデータによると、他の月と比べても12月が突出して多いとのこと。いわば年末は“騙されやすい”シーズンということで、そういった意味でも注意喚起の声が広がっているところだ。

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