世界3大カスタムカーショーの1つとも言われる『東京オートサロン2023』が1月13日〜15日に開催されました。1980年代の初頭にほぼ不法改造車の展示会の様相で始まったこのイベントが、よくぞここまで成長したなという印象です。同イベントの経年変化を追いますと、本邦の自動車社会の栄枯盛衰が見えてきます。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2023年1月14日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
注目度を増す『東京オートサロン』
今年も東京の幕張メッセで13日〜15日まで『東京オートサロン』が開催されました。
車に興味のない方は「何それ?」と思うかもしれませんが、これは世界3大カスタムカーショーの1つとも言われ、国内ではこの手のショーの中では最大の動員を誇るものとなっています。
21世紀以降は量産車の国内外メーカーまでもが車を出品するようになっており、昔のチューニングカー展示会を知る者にとっては驚くべき進化となっていることを感じさせられます。
日本の高度成長期、今はすっかりタワマンの聖地となっている東京晴海の国際見本市会場で開催された『東京モーターショー』は70年代後半から2年に1度の開催となりましたが、バブル後半の1989年からは会場を幕張に移し、世界最大規模のモーターショーとして期間中200万人を超える来場者を誇るイベントに成長しました。
しかし日本が高度成長から脱落するのと時を同じくするように参加メーカーは減り始めて展示車両も激減、今なおショーは継続していますが、新型コロナの影響で2021年は開催中止となって極めて存在価値の薄いものになりつつあり、来場者も激減する状況となっています。
時代的にも車を所有することのステータス感が劇的に変化。ハイブリッド車や軽自動車が国内販売の主流になるにつれて、自動車に対する価値観も大きく変化したことが感じられます。
それとは裏腹に存在感を増していったのがこの『東京オートサロン』で、国内のコアな自動車ファンの流れがオートサロンのほうに向くようになったことも大きな変化といえます。
ほぼ不法改造車の展示会がよくぞここまで成長したなという印象
この『東京オートサロン』は1980年代の初頭、まだバブルもはじまっていない頃に『東京エキサイティングカーショー』という名前でスタートしています。
当時は排ガス規制が厳しくなったことなどから一部のスポーツカーは市場から消え、逆にターボ
を搭載したモデルが出始めた頃で、ほとんど車検には通らない非合法の改造車が一同に介するというかなりクリティカルなイベントであったことを思い出します。
その後、バブル期に気を良くした国内メーカー各社は、まさかそのバブルが崩壊するとはつゆ知らず、開発にいそしんだスポーツカーが1990年代に一同に発表され、空前絶後のスポーティ量産車ブームが到来。
そのためアフターマーケットの合法的な改造車市場も拡大し、意外な形でこの筋の市場は拡大することとなりました。
しかし2000年代に入るとともにそうした量販車は須らく姿を消すことになり、逆に量販メーカーが展示を行うようになり、さらにメーカーが推進する合法的なカスタマイズの車両をお披露目する場に変わってきています。
もちろん大手メーカーが参加することでブースの展示もお金のかかった華やかなものになり、イベントしては30万人近い観客が動員されるようになったこともあって、かなりの盛りあがりを見せるようになっているのが現状です。
Next: 自動車はオワコンになるのか?古い車に乗り続けると損する日本社会