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ウエルシア「たばこ販売中止」に歓喜する非喫煙者たち。米国では同様のケースで禁煙外来への受診者が激増したという前例も

ドラッグストア大手の「ウエルシア」が、たばこの販売を取りやめる方針を決めたと報じられたことが、大きな反響を呼んでいる。

ウエルシアでは現在、全店舗の7割にあたるおよそ2,000店舗でたばこを販売しているが、これを順次取りやめ、3年後をメドに全廃するとのこと。さらに新たにオープンする店舗に関しても、開店時から電子たばこを含めて一切、たばこを置かないという。

大手チェーンがたばこの販売中止を決めるのは珍しいケースだということで、他のチェーンにも影響を与える可能性もあると見られている。

コンビニでは売上の30%近くがたばこ販売によるもの

セイコーマートのお惣菜を置いているウエルシアは特にそうだが、最近では食品などの販売を強化するチェーンも増えるなど、品揃えが多種多彩になっているドラッグストア。

だが、本来は健康増進のためのアイテムを取り揃えるのが本分であるのは間違いのないところで、それだけに健康とは正反対の存在と言えるたばこを、ドラッグストアが販売していることに関しては、消費者から疑問の声も多かったのも正直なところ。

そんな「ドラッグストアでたばこを販売」という、ある意味での矛盾がまかり通っていたかというと、単純に“置けば売れるから”のよう。実際コンビニの場合だと、ローソンが公表している「商品群別販売構成の推移」によれば、全体の売上の28.6%(2021年)がたばこ販売によるもののようで、またウエルシアもそこまで大きな比率ではないものの、それでも売上全体の1.5%が、たばこ販売によるものだということだ。

ただ、たばこや喫煙に対する世間の視線が年々厳しくなっているなかで、ウエルシアにおいても客への配慮などから、従業員に対して出勤前の喫煙を禁止したり、禁煙のサポートなども以前から行っていた模様。また、やはり健康関連の商品を扱うドラッグストアで、たばこを売るのはどうなのかという声は社内でもあったようで、もはや会社の方針にそぐわないということで、今回の判断となったようだ。

ドラッグストアを含め、小売りチェーンが全店規模でたばこの販売を止めるというのは、日本国内では珍しいケースなのだが、アメリカにおいては2014年に、同国最大の薬局・コンビニエンスストアチェーンの「CVS」が、たばこの販売中止に踏み切っている。

Amazonなどのネット通販に押されていたCVSは、単にモノを買いに来る場所ではなく、健康のための総合ケアを受けるために行く場所としてのアイデンティティを確立したいということで、当時年間で約15億ドルもの売り上げがあったというたばこの販売を止めたそうなのだが、実際たばこの販売を中止した直後も増収を確保したとのこと。

さらにCVSがたばこの販売を中止したことで、米国全体でたばこの販売数が減少するという、小売全体における“脱たばこ”の効果もあったようで、またCVSにおいても系列の禁煙外来への相談者が2倍以上に増えたのだという。

他チェーンへの波及で禁煙の風潮がさらに加速か

今回たばこ販売の取りやめを表明したウエルシアといえば、売上高・店舗数ともに業界トップクラスながらも、マツキヨココカラ&カンパニーやツルハホールディングス、さらにスギホールディングスなどとのシェア争いも依然熾烈である。

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それだけに、いち早くたばこ販売中止の方針を打ちだし、健康に配慮しているといった企業イメージをアピールすることで、他チェーンに抜きん出たいといった狙いも多分にあったと思われるのだが、実際SNS上の反応をみると「遅いくらい」「なんですぐにやらないの?」といった、その方針を歓迎の声がほとんどということで、ウエルシアにとっては思惑通りの展開となっているようだ。

また、そのいっぽうでは「この流れが薬局業界に広がってほしい」と、報道でもあったとおり同業他チェーンへの波及を願う声も。仮にそのような動きとなれば、先述のアメリカ「CVS」の時と同様に、世の禁煙・卒煙への流れをさらに加速させるような効果が出ることも、大いに期待できそうである。

Next: 「他のドラッグストアやコンビニも続いて欲しいなぁ」

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