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小学生で年間10万円「隠れ教育費」が家計を圧迫。穴だらけの“無償化”が教育格差・少子化の元凶に=原彰宏

「隠れ教育費」はどんな費用?

まず、憲法が保証している私たちの教育に関する文言の確認です。

憲法26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

(2)すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

「教育を受ける権利」とは?

教育は、個人が人格を形成し、社会において有意義な生活を送るために不可欠な前提をなす。この意味で、「教育を受ける権利」は、精神的自由権としての側面を持つ。また、「教育を受ける権利」が保障されていることによって、人間に値する生存の基礎条件が保障されることになる。この意味で、「教育を受ける権利」の保障は憲法25条の生存権の保障における文化的側面をもつものである。

国民はすべて教育を受ける権利を有し、その保護する子女に教育を受けさせる義務を負うが、国民各人が自らなしうるところには限界がある。そこで、現代国家において「教育を受ける権利」は、国に対し合理的な教育制度と適切な教育の場を提供することを要求する「社会権」(国家に対し積極的な配慮を求めることができる権利)としての性格をも有していることになる。

ここにいう「教育」とは、学校教育に限られず、社会教育をも含む。したがって、「教育を受ける権利」については年齢上の制限はない(「学校教育」とは、学校において行われる教育、「社会教育」とは、家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育をいう)。

出典:平成15年2月 衆議院憲法調査会事務局「教育を受ける権利に関する基礎的資料 基本的人権の保障に関する調査小委員会 (平成15年2月13日の参考資料)」より抜粋

義務教育である小中学校において、給食費負担を含め“完全な”無償化にはなっていないという指摘があるのです。

内容・予算・財源…岸田総理答弁でのこれらの言葉は、教育の“完全”無償化のための必要なプ
ロセスとしていますが、これに対し、「(給食費を含めた)義務教育の無償化」は、少子化対策としても検討されるべきことだと野党は強く主張しています。

「隠れ教育費」の本質は、給食費のようなはっきりと“見える”ものではなく、はっきりとされない費用負担をどう考えるかにあります。

具体的には、公立小学校の場合、制服や体操服、上履き、ドリルに書道用具、リコーダーなどの音楽教材、修学旅行や遠足の積立金、行事費用(卒業アルバムなど)にPTA会費など、様々なものがあります。

支払い先が分かれているだけに総額が把握しづらいことで、「隠れ」として、費用負担感を感じないけれど実際に家計を圧迫している状況になっています。

文部科学省によれば、これらをまとめると約6万6,000円にもなり、給食費を合わせると、家庭負担は年間10万円以上になるとされています。

これは小学校での話ですが、さらに中学にもなれば、約17万円にもなると言われています。公立高校では、授業料はタダでも、4月の入学時に25万円が必要だというケースもあるようです。

義務教育無償化にもかかわらず、これだけの負担が必要になります。これに塾代や習い事のお金がかかるのです。

いままで“当たり前”に負担するものと思われていたものが、長年給料が上がらない状況下での物価高による「可処分所得の減少」により、いろんな出費に対して負担感が増してきていることで、“隠れ”として意識していなかったことが、今あらためてクローズアップされているのでしょう。

体操服やシューズなどは学校指定のものが多く、量販店で安く買うということはできないですからね。

Next: どこまで国が面倒を見るべき?少子化にも直結する問題となっている

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