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「出遅れ」日本の電気自動車が勝てる道は2つだけ。圧倒的“価格差”で同じ土俵では戦えない=斎藤満

トヨタは2022年度の世界販売が960万9,782台となり、2018年度を上回る過去最高となったと発表しました。しかしこれもハイブリッド車を含むガソリン車によるもので、EV化は遅れています。そして需要面でもEVシフトが進む中国ではガソリン車の需要が弱く、中国向けの日本車輸出は、今年3月に前年比6割を超える大幅減となりました。世界の自動車市場がEVにシフトする中で、遅れた日本車はどう対応するのでしょうか。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2023年5月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

リチウム電池の生産体制強化へ

中国に比べて遅れているリチウムイオン電池の供給体制が、日本では喫緊の課題となっています。

ここまでパナソニックの電池の性能が評価され、これを使用する日産は日本では先行しています。しかし、それ以外のメーカーは高性能なリチウムイオン電池の供給を確保する必要があります。

このため、ホンダは昨年12月に韓国の電池大手「LGエナジー・ソリューションズ」と共同で、EV用のリチウムイオン電池の生産をする新会社を米国オハイオ州ジェファーソンビルに設立しました。資本金は2億1,000万ドルです。

ホンダはさらに大型連休前に、「GSユアサ社と共同で4,000億円を投資し、国内にEV・住宅用電池の工場を建設。リチウムイオン電池の量産を目指す」と発表しました。ガソリンエンジンと異なり、EVでは良質な電池の供給に大きく依存するからです。

圧倒的な価格差

EVで先行する米国のテスラ社が、このところ価格の引き下げを進めています。

テスラの上級車の価格は1台1,000万円以上しますが、普及タイプでは1,000万円を割っています。日本のEVの価格と比べるとやや高価ですが、欧州のEVと比べると価格面ではそん色ありません。量産が進んでいる点で、テスラが一歩も二歩も先を進んでいます。

そのテスラが価格引き下げを余儀なくされている理由が、中国のEVの低価格化です。

中国の自動車メーカーBYDはこのほど、新型のEVシーガルの価格を、広告価格から6.3%引き下げて1万658ドル(日本円で140万円余)にしました。この車の航続距離は305キロです。

また中国のMGモーター社は、航続距離230キロのEVコメットの最低価格を9,763ドル(日本円で約130万円)に設定しました。これはインドのライバル、タタのEVディアゴの1万400ドルを下回るものです。明らかにインドでのシェア拡大を意図して、タタの価格を下回るよう設定しました。

Next: 日本の独自性を打ち出せず、相手の土俵では戦えない…

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