日本の不動産はまだまだ上がる?
俣野:本来、価格が安いか高いかというのは、比較によって決まります。
デフレ時代の安かった日本と比べるのであれば、高いと感じるでしょうが、今の世界と比べた時に、「日本のインフレは、むしろこれから本格化するのではないか」と感じました。
織田:その可能性は十分あると思います。世界は繋がっていますし、私たちの身の回りは、海外製品であふれていますので。
俣野:今後もインフレが続くとなると、私たちは資産防衛を考えていかなくてはなりません。織田さんが注目している金融商品などはありますか。
織田:個人的には、日本の不動産はまだ上がると考えています。
俣野:今、東京のマンションは1億円に迫る勢いですよね。それでも上がるというのは、「日本ではまだ低金利が続く」と見ているからでしょうか。
織田:それもあります。万一、日銀が金利を上げた場合、以後はおそらく東京23区に日本人がほとんど住めなくなるでしょうから。
金利が上がって苦しくなるのは、消費者だけではない
俣野:東京23区に日本人が住めなくなる!やはり日本の金利が上がったら、ローン破綻する人が続出するとお考えでしょうか。
織田:確かに、住宅ローンで家を購入している人の約8割が変動金利を選択している現状を考えれば、金利の上昇がこれらの人々を直撃するのは間違いありません。
ただ、日本には消費者保護の観点から「金利の変動による返済額の見直しは5年に1度」「返済額の増加も最大1.25倍まで」というルールが存在していますので、対処する猶予はあると思います。
金利の上昇で苦しくなるのは、むしろ長期にわたって低金利で融資をしている銀行のほうでしょう。実際に、日銀が長期金利を上げれば、銀行にとっては逆ざやになってしまう可能性があります。
俣野:90年代のバブル崩壊で、日本長期信用銀行(※)が経営破綻し、国有化された時の二の舞になるかもしれない、ということですね。
(※筆者注:日本長期信用銀行…1952年に創業された長期信用銀行の1つ。日本の高度成長期を支えたが、バブル期に行った不動産等への過剰融資が不良債権化し、1998年に破綻。国有化銀行の第1号となった。後の新生銀行)
織田:同じことが、再び繰り返されかねませんから、当面、日銀は金利を上げないだろうと見られています。
とはいえ、世界中でインフレの嵐が吹き荒れ、利上げが行われている状況下では、日本もいずれは金利を上げざるを得ないでしょう。