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30年後の日本はもっと悲惨。黒田日銀“異次元緩和”の爪痕がいまの現役世代を苦しめ続ける=神樹兵輔

不況で「金融緩和」しているのに「消費増税」する大バカな自民党

第2次安倍政権下で、2013年から日銀総裁に就任したばかりの黒田東彦氏はアベノミクスの一環で「大規模異次元緩和」を始めました。

2年で安定的なインフレ率の2%を実現して、デフレから脱却する――と黒田東彦総裁は就任会見で大見得を切りました。

しかし、1年経っても、2年経っても、その後においても、いつまで経っても、それは実現できず、言い訳の垂れ流しでズルズルと資金供給を拡大させる一方となるのでした。

「戦力の逐次投入」はしない――といって、2013年4月にドカンと黒田バズーカ第1弾で国債買い入れ額を年間50兆円、日本株のETF(上場投資信託)などを年間1兆円ペースで買い入れる――と表明します。

そして、1年後には日経平均株価も12000円台から15000円台にのせ、為替相場も90円台から100円台までの円安にのせ(2011年10月31日には1ドル75.58円の最高記録あり)、有効求人倍率も何とか1%を上回らせ、消費者物価の前年比上昇率も1.4%まで上げることが出来ます。

しかし、異次元緩和の効果はたった1年のここまででした。

あとは、官製相場で、空虚な株高を演出しただけです。

2014年4月に安倍政権によって、消費税率が5%から8%に引き上げられると、景気は減速し、ますます物価も上がらなくなります(GDP年率換算で7.5%減)。

不況の時に平気で増税を行うのが、反日・売国の自公政権なのです。

そのうえ、当時の世界的な景気減速と原油価格の下落も追い打ちをかけました。

あとは泥沼に陥るだけ――だったのです。

狂気のYCC政策で出口をなくした黒田日銀総裁の迷走ぶり

2014年10月には、黒田バズーカ第2弾で年間国債買い入れ額を30兆円増やして50兆円から80兆円に、ETFなどの金融商品買い入れ額を年間1兆円から3兆円ペースにしましたが、安定的な物価上昇率2%の目標にもとても届きません。

2015年2月には物価上昇率が0%台になり、夏場以降はマイナスにまでなったのです。「2年で2%」の公約どころではありませんでした。

もはや手詰まり感どっぷりなのに、黒田日銀総裁は暴走を続けます。

黒田日銀総裁は、ことここに到っても強気で「ピーターパンの物語には、飛べるかどうか疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう。大切なことは前向きな姿勢と確信です」などとうそぶく始末でした。

永遠に日本を飛べなくしたのは、あんたたちアベ・クロのコンビだろう――と指摘しておきたいです。

2016年6月には、日銀・黒田総裁は、日本の金融政策市場はじめての「マイナス金利」の導入を打ち出しました。

民間金融機関が日銀に預けている当座預金にマイナス0.1%の金利を適用するということは、日銀当座預金にカネを積まずに市場に回せということです。

当座預金にカネを積んでいると、金融機関が日銀に金利を払う形になり、積んだカネが目減りするだけだからです。

金融機関は、市場で融資先を必死に探すしかなくなりますが、これではいくら貸出先を増やしても、金融機関も利ザヤで稼げなくなります。

喜んだのは、資金調達が楽になった企業や、住宅ローン金利が借りやすくなる人、官製相場で株価が上がる投資家だけでした。

さらに2016年9月には、10年物の長期国債を買いまくって、10年物国債金利を0%程度に抑え込むという、とんでもない狂気の手法に打って出ます(YCC=イールドカーブコントロール)。

しかし、それでも物価は上がらなかったのです。

そして、2019年10月からは、安倍政権が消費税率を8%から10%に引き上げたため(GDP年率換算で7.1%減)、再び景気は減速、需要は萎み、物価は低迷します。

アベノミクスどころか、ブレーキとアクセルを同時に踏み込む「アベコベ」のミクスだったのです。本当にバカとしか、いいようがありません。

そして、2020年コロナ禍が襲い、4月には国債の買い入れ枠上限の80兆円をとっぱらい、ETFなどの金融商品買い入れを6兆円から12兆円に増やします。

それでも安定的な物価上昇率2%は達成できません。

9月には敵前逃亡の体で安倍首相も政権を投げ出しました。

2度目の「政権投げ出し」でした。

ともあれ、とんでもなく無茶苦茶で出鱈目な政権運営と金融政策だったのです。

Next: 日本経済の長期に及ぶ「イバラの道」のスタート

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