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もはや日本円はトルコリラ状態。岸田・植田体制の金融政策はアベクロを下まわる劣化状態に=今市太郎

植田新体制で日銀政策を全く見直せなかったのは大きな失点

岸田首相が財務省と米国の「言いなり」でまともな金融政策についての知見が皆無であることは、ここ2年の行状を見ていればすぐにわかること。さらには、首相就任後2年を経てもアベノミクスのマイナス金利を見直さず、過度な緩和をただ引き継いで続行してきたことによる問題が大きく噴出しはじめています。

すでにGDPの257%も有利子の債務を抱えるこの国ですから、アベクロ体制でゼロ金利をテコに凄まじい金融抑圧をおこなってきたことから、マイナス金利廃止や利上げ実施で国債費の上昇を抑える意味でも簡単には容認できない状況下にあることは理解できます。

ただ、世界の主要国でもこれだけインフレが進み、エルドアンが意味不明の経済理論を唱えてきたトルコでさえとうとう利上げを実施したなかにあっては、世界で唯一マイナス金利を続行させて完全に周回遅れの状況に陥っているこの国は、誰が見てもその説明がつかないところにさしかかっています。

どれだけ植田氏が学者として言葉を選びながら説明を試みても、それが理解できない向きは世界的に日々増加中です。

相対的な状況から考えれば足元の日本円は、G7の中のトルコリラ的状態に陥っています。早晩、為替介入などでは修正が効かない時間帯に突入することが危惧されます。

とくに実質実効レートベースでは日本円は対ドルで360円の固定レート時代に逆戻りしていることは衝撃的で、ガソリンの店頭価格が1リッター200円となるのはもはや必然的状況です。

足元では米債10年債の金利が4.88%にまで上昇し、このままでいけば早晩5%を超えることから、日米の金利差はJGBの10年債利回りが上昇してもさらに拡大してしまう危険性が高まっています。

単独為替介入などでは円安を抑止するのはすでに無理な状況になっている可能性も

足元のドル円相場は115円を超えた直後に3円近くの不可解な下落が示現したことから、アルゴリズムでさえ高値を追うと介入のお見舞いを食らいそうだということを広範に理解してしまったことから、上値追いはいったん休止状態に陥っているように見えます。

しかし、ここから150円を再度超えて上値試しがはじまったときに、財務省が為替介入に踏み切って5円から7円程度実弾投入で無理やり水準を下げることに一時的に成功したとしても、外部環境を考えれば市場参加者に単なる良い「押し目」を提供するだけ。今度は数か月ももたずに年末には155円超、さらに来年はそれを超える驚くべき円安が到来するリスクが高まっているように見えます。

ほとんどの財務省関係者は莫大な資金さえ投入できれば介入で相場を冷やすのは簡単と思っているのでしょうが、実は日本円も主要国が集まって協調介入でもしない限り、介入を成功されることができなくなる状況に直面するのは時間の問題と思われます。

Next: この円安は誤った政策のせい。円買い介入大失敗という未来も…

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