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保険証廃止「利用率に関係なく実施」発言に広がる反感。マイナ保険証利用に消極的な医療機関の“通報”まで促す政府の必死ぶりに国民はドン引き

武見敬三厚生労働相が、今年12月に予定されている現行の健康保険証の廃止について、マイナ保険証の利用率に関係なく実施すると発言したことが、大いに反感を買っているようだ。

渦中の発言は18日の参院厚労委員会において、共産党の倉林明子氏への答弁としてなされたもの。武見氏は、廃止後も最長1年間は現行の健康保険証を使える猶予期間があり、またマイナ保険証を所有していない人には「資格確認書」が発行されるとしたうえで、「利用率にかかわらず、12月以降の医療機関受診に支障が生じるとは考えていない」と強調したとのこと。

政府は現行の健康保険証に関して、今年12月2日から新規発行を停止し、そのまま廃止にすることを決定している。

厚労省職員も利用していないマイナ保険証

多くの国民より怪訝な視線がかねてから注がれている、政府による一連のマイナカード“ゴリ押し”だが、その最たるケースなのが今回取沙汰されている「マイナ保険証」への一本化。

従来までのいわゆる“紙の保険証”の廃止まで、あと7か月ちょっとにまで迫っているのだが、3月のマイナ保険証の利用率は5.47%に留まっているということで、これで来る12月にスムーズに移行できるとは、到底思えないような惨状である。

ちなみに、このマイナ保険証利用率ということでより衝撃的なのが、これが国家公務員に限った数字でも、昨年11月時点のデータで4.36%と、同時期の国民全体の数字(4.33%)とさほど変わらないという。さらに厚労省職員に絞っても4.88%に留まっているということで、いうなれば“身内”の間でも利用率はさっぱり振るわないのだ。

いっぽうで、現行の健康保険証の廃止時期といえば、マイナカードを巡るトラブルが頻発したことを受け、政府がいわゆる“マイナンバーカードの総点検”を行っていた昨夏の段階では、「総点検とその後の修正作業の状況を見極めた上で、さらなる期間が必要と判断される場合には、健康保険証の廃止の時期の見直しも含め適切に対応する」と岸田首相が発言

要はマイナカード絡みのトラブルが収束しない限りは、紙の保険証の廃止を安易に行わないといったようなことを、この時点では言っていたのだが、結局のところは2024年内の廃止は変わらず実施されることに。

しかし、だからといってマイナカードを巡るトラブルがすっかり解消されたわけではなく、それどころか今月に入り、新たな証明書トラブルが発生したことが確認され、システムを運営する会社の親会社である富士通に、行政指導が行われたという報道も。

依然としてマイナカードに対しての不安が払拭されず、そういったことも利用率の伸び悩みに繋がっていると大いに考えられるなかで、なぜかマイナ保険証への一本化を何が何でも急ごうとする政府の姿に、多くの国民が大きな不安ときな臭さを感じているといった状況のようなのだ。

マイナ保険証導入に消極的な医療機関を通報で洗い出し?

そんななかで政府側は、マイナ保険証の利用率が低迷している元凶は、もっぱら医療機関にあると睨んでいるようで、利用促進に向けて病院には上限20万円、診療所と薬局には同10万円を支給するという、マイナカード普及時にもみられたバラマキを大々的に展開

厚労省の社会保障審議会(医療保険部会)では先日、 マイナ保険証の利用を促進する方策のひとつとして、窓口での「マイナンバーカードはお持ちですか?」などの声掛けが有効であるとのがなされていたようで、今後はそういった利用の呼びかけも“バラマキ”の支給条件にするとのことである。

またそのいっぽうで、この週末になって飛び込んで来たのが、河野太郎デジタル担当相が自民党所属国会議員に対し、マイナ保険証での受付ができない医療機関があった場合に、公的な相談窓口に連絡するよう支援者に求める内容の文書を送っていたという、俄かに信じられないような話。

報道によると文書には、マイナ保険証での受け付けできない医療機関に対して「厚労省から必要に応じて、事実確認をさせていただく」との一文もあったとのこと。

要は、マイナ保険証の利用に消極的な医療機関の洗い出しのために、広く“通報”を呼びかけるといった内容で、SNS上からは「やってることが異様で異常」「やり口が特高警察めいててエグい」などと、早くも批判の声が噴出しているようなのだ。

このように、いわば“飴と鞭”の両面作戦で、今年12月の現行の健康保険証の廃止に向けて、マイナ保険証の利用率を上げていきたいとする政府なのだが、そのなりふり構わない姿に国民の間からは「本当に便利なものなら何もせずとも利用が広がるものなのに…」といった呆れる声も、大いに広がっているところのようだ。

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