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霞ヶ関キャピタル Research Memo(4):今後の成長に向けて公募増資を実施し、積極的に棚卸資産を積み上げ

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■業績動向

2. 財務状況と経営指標
2024年8月期第2四半期末における資産合計は、前期末比12,038百万円増の55,819百万円となった。流動資産は同12,263百万円増の49,613百万円であった。これは主に積極的な営業活動と2023年12月の公募増資による資金をベースに、開発事業等支出金が9,853百万円増加したことによる。上期末に積み上がっている棚卸資産(販売用不動産及び開発事業等支出金の合算値)が下期の売上につながることから、2024年8月期の業績予想を達成するために十分な在庫水準を確保していると言えよう。また、固定資産は同222百万円減の6,196百万円となった。これは主に投資その他の資産が1,317百万円減少したものの、有形固定資産が591百万円、無形固定資産が503百万円増加したことによる。

負債合計は前期末比339百万円増の32,438百万円となった。流動負債は同4,450百万円増の20,617百万円であった。これは主に短期借入金など(短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金)が4,172百万円増加したことによる。固定負債は同4,110百万円減の11,821百万円であった。これは主に長期借入金が3,750百万円減少したことによる。純資産合計は同11,698百万円増の23,380百万円となった。これは主に今後の事業拡大に備えた公募増資により、資本金が5,472百万円、資本剰余金が5,487百万円増加したことによる。

資産合計は急拡大を続けているが、公募増資を行ったことで2024年8月期第2四半期末の自己資本比率は40.9%(前期末比15.7ポイント上昇)となり、2023年3月期のプライム市場不動産業平均の32.7%を大きく上回って、安全性は非常に高いと言えよう。一方、長短借入金合計は同454百万円増の28,109百万円に留まった。長期借入金は最長2年程度であり、将来の金利上昇リスクは小さそうだ。また、グリーンローンやソーシャルローンなどについては、銀行は前向きに貸し出す姿勢である。霞ヶ関キャピタル<3498>では、自己資本と借入金の活用によって、引き続き仕入を積極的に進める方針だ。収益性指標についても、2023年8月期のROAは11.1%、ROEも20.3%と、2023年3月期のプライム市場不動産業平均のROA4.2%、ROE8.6%を大きく上回っており、高い収益性を確保していると評価できる。

同社ではバランスシートを使って開発するのではなく、開発投資家のバランスシートやSPC(特別目的会社)を活用してオフバランスした状態で開発及び運用を行っているため、バランスシートからは現在どれくらいの物件が開発中・運用中かを把握しづらい。しかしながら、物流事業が順調に拡大していることに加え、コロナ禍から回復したことでホテル事業が大幅に伸長し、ヘルスケア事業や海外事業も加わる一方、当期は収益性で劣るレジデンスファンドを売却した。その結果、2024年3月末のプロジェクトパイプラインとAUMの事業総額は3,385億円(前期末比353億円増)と拡大ペースがやや鈍化しているが、より収益性・成長性が高い事業にシフトしている結果である。中期経営計画の目標であるAUM6,000億円規模の達成に向けて、着実に進捗していると言えよう。今後は物流事業とホテル事業の拡大に加えて、ヘルスケア事業や海外事業の寄与が見込まれることから、プロジェクトパイプラインの拡大スピードはさらに加速すると弊社では見ている。

2024年8月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比1,058百万円増の6,952百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の5,449百万円の収入に対し、当期は8,259百万円の支出となった。これは主に、棚卸資産の増加による支出が6,473百万円あったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べて支出が226百万円減少し、687百万円の支出となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出が735百万円あったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期が2,658百万円の支出に対して、当期は9,971百万円の収入となった。これは主に株式の発行による収入が10,894百万円あったことによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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