ミスタードーナツが今年4月まで販売していた「とろ~り4種のチーズ&ミートパイ」に関して、実は原材料に畜肉が入っておらず、「大豆ミート」を使用していたとお詫びしたことが波紋を呼んでいるようだ。
報道によれば、対象のパイは2023年10月~24年4月まで全国各地の店舗で販売され、販売期間中のアレルギー情報には、大豆を使用していることが明記されていたとのこと。
同社は公式サイトで、大豆ミートを使用していることが分かったとして「誤解を招く表記となっており、お客様にはご心配及びご迷惑をお掛けすることとなり誠に申し訳ございません」とコメントしている。
大豆ミートならむしろ買ってたとの声も
発売当時のリリースには「トマトで煮込んだボロネーゼソースと、とろ~りとした4種類のチーズ(カマンベールチーズ・ゴーダチーズ・マスカルポーネチーズ・チェダーチーズ)を合わせたクリームを包み、シュレッドチーズをのせて香ばしく焼き上げました」との紹介があった、渦中の「とろ~り4種のチーズ&ミートパイ」。
この説明を読む限りでは、どうやら同商品におけるお肉の要素はボロネーゼソースのひき肉程度のようなのだが、とはいえ商品名にある“ミートパイ”という文字を見れば、ほとんどの客はそのひき肉が牛か豚か鶏などの何らかの肉だと思うところで、それだけに「実は大豆ミートでした」と、それも販売終了後になってお詫び……ということで、SNS上からは「偽装じゃね?」という声もあがっているところ。
虚偽でしょ、完全に💢遺伝子組換えの大豆で #ソイボーイ にする気か😡平気で嘘つく企業は今後潰されます。#水瓶座の時代
「ミートパイ」なのに“畜肉”使わず…… ミスタードーナツ謝罪「誤解を招く表記」 実際は「大豆ミート」使用(ねとらぼ)#Yahooニュースhttps://t.co/pAYUMNJTdY
— Halno2 (@Halno2248951) May 24, 2024
「ミートパイ」なのに“畜肉”使わず…… ミスタードーナツ謝罪「誤解を招く表記」 実際は「大豆ミート」使用https://t.co/4ac4UAKBP3
これって見ようによっては食品偽装じゃね?— 京極典厩 (@kyogoku_tenkyu) May 24, 2024
ただ、従来の家畜肉に代わるものとして作られた代替肉の一種である大豆ミートも、もともとは畜産に伴う環境負荷や動物福祉などの観点から、その開発や普及が進んだものの、近年では高たんぱくで低脂質であることが評価され、進んで摂取しようとする消費者も多い状況。
現に今回の件でも、大豆ミートと書いてくれれば、それはそれで買ったのに…といった趣旨の声も、一部からはあがっているようだ。
ミスタードーナツ
とろ~り4種のチーズ&ミートパイ
で実際は、大豆ミートが使われていた。
むしろ、大豆ミートアピールしたほうが、意識高い系には、購買意欲かきたてられたのに。
で、表示も指摘されなかったのでは? pic.twitter.com/rW9YPK6Bnt— 芳野(Yoshino)🇯🇵 (@kokukokugo) May 23, 2024
ミスドのパイが大豆ミートとか、めっちゃええやん。
ニュース見てたら食べたくなってきた。#ミスド#大豆ミート— こてつ昭和特撮アカ (@KotetuRider) May 24, 2024
いっぽうで、大豆ミートをはじめとしたいわゆる「プラントベース食品」に関しては、2021年に消費者庁がその表示ルールの考え方を公表。
そこには「代替肉は、食肉ではありません。したがって、例えば、商品名とは別に、「大豆を使用したものです」、「原材料に大豆使用」、「お肉を使用していません」、「肉不使用」と表示するなど、一般消費者が、表示全体から、食肉ではないのに食肉であるかのように誤認する表示になっていなければ、景品表示法上問題となることはありません。」との記載がある。
その点、今回の商品に関してはどうだったのかというと、すでに発売終了後ということで、その状況は窺い知れないのだが、今回ミスドが発表したお詫びには、先述の通り「なお、当該商品販売期間中のアレルギー情報においては大豆を使用していることが明記されておりました。」との一文が。
要はミスド的には、仮に店内のショーケースなどに「大豆を使用したものです」「大豆ミート使用」などとは表記されていなかったとしても、アレルギー情報には大豆使用と明記したからセーフ……と言いたげなようなのだが、それが本当にセーフかどうかは判断が難しいところだろう。
「誤解を招く表記」とのお詫びに渦巻く疑念
いっぽうで、今回のミスドによるお詫びのなかで、引っかかるとの声が少なからずあがっているのが「誤解を招く表記」との一文だ。
近年では政治家などが何らかの舌禍を起こした際に、「誤解を招く表現だった」と謝るのが、もはや常套手段になっているわけだが、このいわば紋切り型のフレーズには、言外に「受け取り手側にも責任ある」「“誤”の主体がこっち側にある謝罪」といったニュアンスが多分に含まれているというのは、かねてから多く指摘されているところ。
誤解を招く表現でした、って便利な言い方よなー言いたいことは正しかったけど、誤解されてしまったので謝ります的な、受け取り手側にも責任あるよ的な
言った内容そのものに関する訂正や謝罪をするべき時もあると思うけどねhttps://t.co/jFfSc7AGtl— Francis (@Francis41834814) July 6, 2022
てか思うんですけど、「誤解を招く表現があり」って「誤」の主体がこっち側にある謝罪()いい加減やめません?そりゃ紋切り型は便利でしょうけどあまりにお座なりだよなっていうhttps://t.co/zOFmqOmeyz
— みやねね子 (@MiyaNeneko) October 6, 2020
今回の件も、それに当てはめれば「アレルギー情報にはちゃんと大豆の使用を記載していたんだし、勝手に勘違いしたのは客」「うちらは間違ってないけど、誤解されてしまったので謝っときます」といったスタンスとも捉えられないところで、それだけにSNS上からは「「誤解を招く」ではなく「誤解されることを狙った」だろ」「つまり謝っているようで非は認めていない」などといった批判も、多くあがっているようなのだ。
「商品名において誤解を招く表記となっており」
えっ。「誤解を招く」ではなく「誤解されることを狙った」だろ。ミスドまでこんな詐欺まがい商法をするとは思わなかった。誰だよ、広報宣伝の担当者は。
→「ミートパイ」なのに“畜肉”使わず…… ミスタードーナツ謝罪https://t.co/HwW0im2mZ5— 南青山(大阪バカ博開催反対、環境破壊のリニア建設反対、沈黙はファシズムの承認) (@minami_aoyama) May 23, 2024
「誤解を招く表現」てのは、勘違いさせちゃうこともあるかも知れないけど書いている内容は正しい、という開き直り。つまり謝っているようで非は認めていない。
「ミートパイ」なのに“畜肉”使わず…… ミスタードーナツ謝罪「誤解を招く表記」 実際は「大豆ミート」使用https://t.co/YPAUZ5ltlU
— 弁護士 中村憲昭 (@nakanori930) May 23, 2024
今回の件では、幸い食べた者に健康被害が出たといったことはなく、さらにいえば客側から大豆ミートの使用を疑う指摘も、恐らくは無かったのではとも考えられるところ。にもかかわらずお詫びしたということで、むしろ誠実な印象も受けるところなのだが、「誤解を招く表記」などという謝る気があるのかないのかと疑われるような文言を用いたばかりに、一部からいらぬ反感を買う格好となっているようだ。
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