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夏本番を前に相次ぐエアコン室外機の窃盗事件。「新たな石油」こと銅の価格高騰が背景も1台分の価値は“2000円程度”との報道も

銅の価格高騰が原因とされるエアコン室外機の窃盗がこのところ相次いでいると、巷で話題になっているようだ。

報道によれば、屋外に置かれているため盗まれやすいだけでなく、部品に使われる銅の価格高騰が、窃盗続出の背景になっているとのこと。近年では室外機に限らず、金属類の盗難が増えているようで、警察庁によれば去年は1万6,276件の被害があり、おととしから5,908件も増加したということだ。

銅価格は20年前と比べ4~5倍に

今世紀に入ってからの銅価格の推移を見てみると、以前まではキロ当たり200円前後で推移していたのが、2000年代中盤になり急激に高騰し、一時的には800円を超えるタイミングも。世間でいわゆる“銅線泥棒”なる行為が大いに取沙汰されたのも、ちょうどこの時期のことである。

その後はキロ当たり600~700円台あたりを推移していた銅価格なのだが、2021年以降は再び急カーブを描き始め、いよいよ1,000円台へと突入。最近では1,300~1,400円ということで、20年前と比べると実に4~5倍の高値になっているといった状況だ。

もちろん銅の価格高騰は世界的な現象で、先月には銅の国際価格一時1トン1万1,100ドル台となり、最高値を2年ぶりに更新

電気自動車(EV)や再生可能エネルギー施設などといった、銅を大量に使う新産業が近年盛んになっていることが、昨今の価格高騰の原因とされており、一部からは“新たな石油”になるといった声もあがっているほどだというのだ。

それだけに、先述した通り銅線など金属を狙った窃盗事件が増えているというのも納得できるところなのだが、なんでも警察庁によれば、被害が特に目立つのが茨城県をはじめとした関東地方だということ。

さらには外国人グループが複数の県で犯行を重ね、被害品をまとめて買い取り業者に売却しているといった実態も把握されており、不法滞在外国にとっての収入源になっているよう。治安上においてもこれは大きな問題ということで、警察庁では摘発強化や被害抑止に向けた対策チームを設置したということだ。

室外機と室内機を繋ぐパイプに用いられる銅

そんななか、エアコンの室外機の部品にも銅は使われているということなのだが、具体的には室外機と室内機を繋ぐ2本の配管が銅でできているとのこと。

これらはパイプなので中は空洞になっており、それゆえにケーブルカッターやパイプカッターで簡単に切断できるようで、あるいはフレア継手と呼ばれるジョイント部分からも、容易に取り外すことができるそうなのだ。

こうしてみると、太陽光発電所などに侵入して銅製のケーブルを盗むのと比べても、いかにも簡単そうだといった室外機泥棒なのだが、そのある意味での“手軽さ”とは裏腹に、室外機だと売ったところでたかが知れているのでは……といった疑問も。

実際、福岡県北九州市でエアコンの室外機1台を盗んだ男が、隣県の金属買い取り業者のところで張っていた警察と鉢合わせし、逮捕されたという報道がつい先日あったのだが、それによれば室外機1台分の価格は、時価にしておよそ2,000円相当だったということ。

仮に1台でそれぐらいの実入りにしかならないとなると、窃盗犯側としてもある程度の台数を盗まないと話にならないわけで、その労力を考えるとさほど効率的なシノギではなく、逮捕リスクも考えれば、正直割に合わないような気もするところだが……。とはいえ、これまで盗難される心配をあまりされてなかった室外機であるものの、今後は転倒防止金具などを用いて住宅の壁面にしっかり固定するなど、万全な盗難対策が必須といったところのようだ。

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