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田舎でよく見かける「コイン精米機」で果たして“年間200万の利益”は実現可能か?是非を巡ってSNS紛糾

田舎に行くとよく見かける「コイン精米機」の建物だが、これは果たして儲かるものなのか……。その是非を巡って、SNS上が紛糾する事態となっているようだ。

話のきっかけとなったのは、数年前にクルマの購入を止めてコイン精米機を買い、設置したという人物の投稿。それによれば、コイン精米機だけで年間200万の利益を生んでいるとのことで、しかも日々の手間は“1日10分ほどの掃除”で済むという手軽ぶりだというのだ。

この投稿がバズったことで、俄かに注目視される格好となったコイン精米機の副業としての可能性なのだが、しかしそのいっぽうで“年間200万の利益”という数字に対して、「そんなに儲かるはずがない」といった見方も多く、それゆえ「精米機営業のステマでは?」といった声もあがっている状況だというのだ。

大手農機具メーカーがこぞって販売するコイン精米機

都会だとお米といえば、スーパーなどで精米された状態の商品が売っており、それを買うのがごく一般的ということで、コイン精米機と言われても全くピンとこないかもしれない。

しかし、いわゆる田舎と呼ばれる地域では、家業が農家で米も作っているといった世帯が多いはもちろんのこと、そういった農家の親戚や知り合いなどから直接、精米していない状態の米を買ったり、あるいは分けてもらったりしているといったケースも多々ある。

それゆえ、そんな玄米を白米にしてくれるコイン精米機の需要が、田舎には一定数あるというわけだが、その利用料金はというと、だいたい玄米10kg分を普通の白米に精米するのが100円で、それ以上の量は10kg単位で200円、300円と設定されているのが一般的のよう。ちなみに無洗米仕上げにすると、それらにプラス100円と若干値が張るという。

米の保管ということで考えると、一度精米してしまうと劣化が早く進んでしまうという点、そしてやはり米は精米したてを炊くのが美味しいということもあり、各家庭がそれぞれの消費量を勘案しつつ、適度なペースでコイン精米機のもとに通うといった利用をしているようだ。

いっぽうでそんなコイン精米機だが、クボタ、ヤンマー、イセキといった国内の大手農機具メーカーがいずれも製造・販売しており、今回バズった投稿にある画像のものは、どうやらクボタのコイン精米機「クリーン精米屋」のよう。

どのメーカーのコイン精米機も、物置程度の大きさのドア付きの建屋のなかに精米機が備え付けてあるといった構造なのだが、販売はこの建物ごとだということ。その気になる価格なのだが、クボタの「クリーン精米屋」だとだいたい400万円台半ばから後半といったところで、確かにトヨタのアルファードちょうど1台分と同じぐらいの値段だ。

ちなみに最近のコイン精米機は、先述した無洗米仕上げにくわえ、逆に胚芽や糠の栄養素を残した“ぶづき米”の精米なども、自在にできるのが当たり前に。また昨年末にイセキが発表した最新モデルでは、米のうまみ層(亜糊粉層)を極力残す新たな精米方式を導入し注目を集めるなど、着実に進化を遂げているようである。

相当高い“年間200万の利益”の壁

というわけで、仮に“年間200万の利益”という話が本当であれば、わずか2年ちょっとでコイン精米機本体の導入費用がペイでき、その後は精米すればするほど儲かるといったことになりそうなのだが、とはいえ“年間200万の利益”というのが、やはり現実的には厳しいのでは……といった声が、SNS上では多くあがっているところ。

まずは、年間200万の利益を出すためには、当然ながら利用者を増やさないといけないわけで、一度に30kg分の玄米を無洗米仕上げで精米をしてくれる客が年間のべ5,000人近く、あるいは同量の玄米を普通に精米するケースなら、年間のべ6,666人は必要だろうといった試算も。

ただでさえ人口が少ない田舎で、そこまでコイン精米機が稼働することがありうるのか……ということなのだが、仮に年に10回ほど、それぐらいの量を精米してくれるようなリピーターがいたとしても、そういう人々をだいたい500~600人は確保しないと届かない水準ということで、かなり高いハードルであることは間違いなさそうである。

さらにSNS上には、実際にコイン精米機を持っているといった方々による体験談もあがっており、それによれば月の売上はだいたい3〜5万が関の山といったところ。そこに消耗品代などの経費がかかれば、儲けはさらに目減りするということで、“年間200万の利益”などほど遠いといった声が多いようなのだ。

ただ上記の投稿によれば、同じコイン精米機でもあまり稼働していないところもあれば、人が並んでいるところも存在するといった状況もあるよう。30kg分の精米でたかだか300円か400円といった世界ということで、価格で差別化を図るのはほぼ無理と考えれば、恐らくは先述したような多彩な精米が可能な最新式か、そうでない旧式のものかという点でも、稼働率に差が出るといったことも大いにあり得そうである。

このように「大きく儲けるのは難しいのでは?」との見方が圧倒的なコイン精米機。とはいえ、SNS上でのここまでの盛り上がりぶりをみるに、多くの人にとってどことなく気になる存在となっているということは、間違いのないところといえそうである。

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